「ラウェイは危険なスポーツだけど、勇気をもって戦う選手の姿にミャンマー人は惹きつけられる。私はラウェイの試合を見て、何度も勇気づけられた」。こう語るのは、ミャンマーの地元紙「ザ・ボイス」でスポーツを担当するエディター(編集者)のアウンアウントゥン(38)さん。世界で最も危険な格闘技といわれるミャンマーの伝統格闘技ラウェイは1000年以上前から続く。ミャンマーではサッカーに次ぐ人気のスポーツだ。
ラウェイはムエタイとよく似ているが、頭突きやキックで攻撃できるのが特徴。手にグローブはつけず、バンテージだけを巻き、素手で戦う。勝敗はKOでしか決まらない。
アウンアウントゥンさんは月に2回ほどラウェイの試合を見に行き、記事を書く。注目する選手はウィントン選手。世界大会の元チャンピオンだ。「ウィントン選手はムエタイやキックボクシングも強い。ラウェイの戦い方も熟知しているから、試合を見ていて面白い。白熱した試合を記事にしたほうが読まれるから彼に注目している」(アウンアウントゥンさん)
ミャンマーでは今、サッカーが最も熱いスポーツだ。2009年に国内リーグができて以来、多くのメディアがサッカーを取り上げるようになった。注目はミャンマーの“メッシ”との異名をもつアウンシトゥ選手。2015年の東南アジア競技大会でチームを準優勝に導き、得点王に輝いたスター選手だ。彼の活躍もあって、ミャンマー人の間では海外のサッカー情報に対するニーズも高まっている。
アウンアウントゥンさんは「サッカーの記事は今すごく求められている。だからこれからも書き続ける。でもそのおかげでラウェイの人気が下がっていることが残念。もっとラウェイの記事を掲載して、(サッカーと同じぐらい)多くの人に注目してほしい」と願う。