イヌ=忠誠心、ミャンマー人仏教徒の「イヌ好き」は国民性!

ミャンマーのイヌは、道端で眠ったり、歩いたり、突っ立ったり、時々吠えたり、自由に生活している。群れをなして歩き回ることもある

ミャンマー・ヤンゴンのダウンタウンで、「イヌとネコのどちらが好きか」と尋ねる路上アンケートをミャンマー人の仏教徒45人に実施した。結果はイヌ派が34人と、ネコ派11人の約3倍に。ミャンマー人仏教徒にいわせれば、イヌは忠誠心のシンボル。イヌの人気が高い背景には「忠誠心」を重んずるミャンマー人の国民性が潜んでいるといえそうだ。

34人のイヌ派にイヌが好きな理由を質問したところ、19人が「イヌにはテッサ(ビルマ語で忠誠心)があるから」と口をそろえた。イヌに忠誠心はない、と言ったのは60歳の女性1人だけだった。

男子学生のサイカンシャンさん(19)は「イヌとネコの両方とも、かわいいとも、かわいくないとも思わない。気にしない。ただ僕は、イヌのことを従順で忠誠心のある象徴として見ている。だからイヌの方が好き」とクールに語る。「イヌには飼い主を守る責任感が表れている気がする。忠誠心をもつのが良いことは、人間社会でも同じだと思う」

ヤンゴンの中級ホテルのオーナーであるティンアウンウィンさん(55)は「ネコは、飼い主が病気になったら家からいなくなってしまう。けれどイヌは飼い主のそばにいて、飼い主の身代わりになって死んでくれる(と信じている)。飼い主への恩を理解している」と話す。

ミャンマーでは目上の人を敬う習慣がある。親を子は敬い、先生は生徒と師弟関係を築く。食事の際は、目下の人が目上の人におかずを取り分けるのが基本だ。

忠誠心を大事にする文化は日常のさまざまな場面で見られる。ヤンゴンで、「もし自分が社長だとしたら、忠誠心のある人、頭の切れる人のどちらを部下に選ぶか」と16人に質問したところ、16人全員が「忠誠心のある人」を選んだ。「能力は後からでも養えるが、忠誠心は生まれながらに備わっているもの。貴重だ」「頭が切れる人は悪事も器用にこなし兼ねない。その点、忠誠心は人を傷つける可能性がない」といった声が聞かれた。

政界でも、ミャンマー人にとって「忠誠心」が大事なキーワードらしい。2016年3月15日に大統領に選出されたティンチョー氏(70)は、与党・国民民主連盟(NLD)の党首アウンサンスーチー氏(71)の元側近。一部では彼の「忠誠心・英知・経験」が買われ、大統領に抜擢されたという。

忠誠心が頭の良さに勝ると回答した19人は、忠誠心さえあれば万事良しと考えているわけではない。「忠誠心と能力を兼ね備えた人がいればベスト」というのが大半の意見だ。

ミャンマー人がそれでも忠誠心を重視する理由について女子大生のペイペイさん(18)は「忠誠心が厚い人は、何かのためを思って行動しているはず」と分析する。大統領であれば国民のため、ミャンマーのため。労働者であれば、会社のため、家族のためを思っている――。こうした心の持ち主がミャンマー人にとっての「理想のミャンマー人」なのかもしれない。

ヤンゴンの街中にはイヌが多い。タウンの路上で夜中、イヌが噛みあいのバトルを繰り広げていた

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犬は家の外で眠ることから、「家を泥棒から守ってくれる」といわれる。ヤンゴン大学で

イヌは家の外で眠ることから、「家を泥棒から守ってくれる」といわれる。ヤンゴン大学で