スイスの人材サービス会社アデコ・グループなどは1月16日、各国の人材をランク付けした「世界人材競争力指数」2017年版を発表した。トップ5は上から順にスイス、シンガポール、英国、米国、スウェーデン。途上国で1位だったのはマレーシア(28位)。ワースト(118位)5は下からマダガスカル、ブルキナファソ、ジンバブエ、モザンビーク、タンザニアとサブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカ諸国が占めた。日本は22位。
■熟練労働者の確保しやさ、マレーシア2位
世界人材競争力指数の評価基準は下の6つの分野で構成する。それぞれの分野に7~16の指標がある。
分野1:「人材を可能にする力」=汚職、政府の効率性、情報通信技術(ICT)のインフラ、ビジネスのしやすさ、規制の質、研究開発(R&D)へ拠出、雇いやすさなど
分野2:「人材を引き寄せる力」=頭脳流入、海外からの直接投資(FDI)と技術移転、女性にとってのビジネス機会、性差による収入格差、移民に対する寛容さ、少数派(マイノリティ)に対する寛容さなど
分野3:「人材を育てる力」=就学状況、大学ランキング、高校レベルの教育(第3期教育)の質、高校レベルの教育への支出、経営を学ぶ学校の質、従業員の能力開発、企業での訓練の普及など
分野4:「人材を維持する力」=環境への取り組み、年金システム、身の安全など
分野5:「職業&専門スキル」=中等教育修了者の労働力、熟練労働者の確保しやすさなど
分野6:「グローバルな知識・スキル」=高等教育修了者の労働力、高校レベルの教育を受ける人数、革新の成果、新製品を生み出す起業家の活動、新しいビジネスの割合、高度な技術など
マレーシアの順位が高かったのは、「職業&専門スキル」が16位と高く評価されたため。とりわけ同分野の「熟練労働者の確保しやすさ」は2位に入った。だがその一方で、「グローバルな知識・スキル」は41位と低く、なかでも「新製品を生み出す起業家の活動」は86位にとどまった。また、「移民に対する寛容さ」は114位。
途上国で2番目の“人材大国”となったのが南米チリ(34位)だ。「人材を育てる力」の分野で22位と健闘。なかでも高校レベルの教育の質は8位だった。また「新製品を生み出す起業家の活動」は1位。対照的に評価が低かったのは「女性にとってのビジネス機会」で107位。
■サブサハラトップはボツワナ、雇いやすさ1位
サブサハラアフリカでトップに輝いたのはボツワナ(63位)だ。南アフリカ(67位)、タイ(73位)、メキシコ(74位)の順位を上回った。
ボツワナの評価が高かった点は「雇いやすさ」(1位)、「高校レベルの教育への支出」(1位)、「新しいビジネスの割合」(7位)、「性差による収入格差」(16位)など。マイナス面は「熟練労働者の確保しやすさ」(103位)、「経営を学ぶ学校の質」(101位)など。
ラテンアメリカで最下位は、政情不安と経済危機がひどくなるベネズエラ(105位)。118位(最下位)と評価された項目は「ビジネスのしやすさ」「頭脳流入」「FDIと技術移転」など。一方で教育面の評価は悪くなく、「企業での訓練の普及」(16位)、「高校レベルの教育の質」(18位)、「高校レベルの教育を受ける人数」(24位)。
7%台の国内総生産(GDP)成長率を続けるカンボジアは108位と、好調な経済とは裏腹に東南アジアで最下位だった。項目別にみると「高度な技術」(118位=最下位)、「移民に対する寛容さ」(116位)、「汚職」(115位)、「就学状況」(114位)など。プラス面は「企業での訓練の普及」(5位)、「性差による収入格差」(34位)などだ。
最下位のマダガスカルは、「政府の効率性」「ICTのインフラ」「環境への取り組み」などで最下位(118位)。「性差による収入格差」(33位)と「少数派に対する寛容さ」(38位)はまずまずだった。ちなみに、「性差による収入格差」で日本は63位と、マダガスカルより下だ。