遺伝子組み換え作物は「飢餓から世界を救う」のか、皮膚病・自閉症が増えるリスクも!?

GMOのマイナス面に言及する印鑰智哉氏。米国のGMOの種子の値段はこの20年で3倍以上に上昇したという

「飢餓から世界を救うといわれた遺伝子組み換え作物(GMO)は、人間の腸に悪影響を与えることで、さまざまな病気を引き起こしている」。食と農業の問題について情報発信する印鑰(いんやく)智哉氏はこのほど、都内で開かれたイベント「世界と私たちの種のはなし」(主催:日本国際ボランティアセンター=JVC)に登壇し、こう警鐘を鳴らした。GMOとしてはすでに、除草剤に耐えられる性質や害虫を寄せ付けない「Bt毒素」をもつGMトウモロコシやGMダイズが生産・流通している。印鑰氏は「(GMOに対する)食の安全性は確保されていない。米国では皮膚病や自閉症になる例が見つかっている」と問題視する。

Bt毒素をもつGMOは、昆虫の腸を破壊する特性があるため、殺虫剤を使わずに害虫の被害を抑えることが可能だ。哺乳類への影響はないとされるが、これに印鑰氏は異を唱える。

「Bt毒素は、腸の細胞壁を開き、血管の中に未消化の異物を混入させてしまう『リーキーガット』と呼ばれる現象を引き起こす。そうした状態に陥ると、アレルギーやアトピーに至る可能性が高い。Bt毒素をもつGMOを日ごろから摂取する妊婦の93%で血液中からBt毒素が検知された。GMOを日ごろから摂取する妊婦の80%の胎児の血液中でもBt毒素が発見されている」

除草剤をかけられても枯れないGMOは、農業従事者からすれば、畑に生える雑草を取り除く大変な作業が省けるという大きなメリットがある。だが印鑰氏はGMOの栽培で使われる除草剤「ラウンドアップ」(米国企業のモンサントが開発)が危険だと指摘する。

ラウンドアップに含まれ、もともとは配管洗浄液として使われていた「グリホサート」という成分は、腸内の善玉菌の活動を妨げ、悪玉菌の活動を活発にさせる。世界保健機関(WHO)によれば、グリホサートは体内に入ると皮膚病や自閉症、男性の精子の減少に発展する可能性があるという。印鑰氏は「米国で皮膚病や自閉症で苦しんでいた人たちが、GMOを摂取しなくなった結果、症状が見違えるように改善した」と、GMOが人体に及ぼす悪影響を強く訴える。

世界では現在、約7人に1人が飢餓に苦しむ。特にサブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカや南アジアの事態は深刻だ。「作物の生産量を向上させ、飢餓に対処するはずのGMOは、食の安全性に疑問が残る。そもそも世界には飢餓から救うだけの食料はすでにある。ただそれ(食料)を買うだけのお金がないだけ。(食料が足りないのではなく)『貧困』が問題なのだ」と印鑰氏は飢餓の解決でGMOにこだわる必要がないことを強調する。