- 2017-06-16
- アジア
巷で増える“ラマダン女子”の皆さん、「断食太り」にご注意くださいませ!
断食はダイエットにならないのよ――。5月26日(日本の場合)に始まった今年のラマダン(断食月)で、プチ断食に挑戦する日本の若い女性たちが増えている。巷では“ラマダン女子”と呼ぶ人も。イスラム教徒たちはラマダンの最中、妊婦や病人、旅行者を除き、日の出から日没まで飲み食いをしてはいけない。だが世界最大のイスラム教国インドネシアの人たちは「夜中にたくさん食べ、すぐに寝るからダイエットにはならない」と口をそろえる。
太陽が沈み、ご飯を食べて良い時間になることをインドネシアでは「ブカ・プアサ」(断食明け)と呼ぶ。今年の東京の場合はだいたい午後7時ぐらいだ。ブカ・プアサの時間は、夏の訪れとともに徐々に遅くなっている。ちなみに「Muslim Pro」というアプリを使えば、断食しないといけない時間がひとめでわかる。今年のラマダンは6月24日に終わる。
東京工業大学の博士課程に在学中のフィルマン・バグジャ・ジュアンサさん(31)は「ブカ・プアサの後の食事は、お腹が減っているから、まず甘いものを食べ、礼拝を挟んで、それからちゃんとした夜ご飯をもう一度食べる。小腹が空いたら、夜中にケーキも食べる。その後は寝て、ファジル(夜明け前の礼拝)の前の2時半ごろにまた朝ごはんをたくさん食べる。アラーの教えを忠実に守るには、夜中もいっぱい食べちゃダメなんだけどね」と苦笑いする。体重は増えないけど、減りはしないという。
ラマダンの間はトータルで見ると、1日の食事量が増える人もいる。在日インドネシア留学生協会の会長を務めるパンドゥ・ウタマ・マンガラさん(29)は「ちゃんとした食事は1日1回だけ。でも食べる量はいつもよりすごく多い」と笑う。1回の食事が2食分というのはざらだ。
ラマダンの定番の食事はまず、甘い紅茶と一緒に、コラック(バナナやイモをココナツミルクで煮たもの)や果物を食べ、その後、しっかりとした夜ご飯をとること。これではダイエットにならないのも当然だろう。
「日本にいると、太らないで済む。でも故郷のインドネシアでラマダンを過ごすとたいてい太ってしまう」とフィルマンさん。インドネシアでは特に最近、「ラマダン太り」がこの時期のお決まりの話題になっている。パンドゥさんによると、インドネシアのメディアが「ラマダン太り」を取り上げる記事を掲載することは珍しくないそうだ。
日本の若い女性の間では最近、イスラム教の断食を体験することが流行っている。東京・代々木上原のモスク「東京ジャーミイ」は、イフタール(断食明けの食事)を、イスラム教徒だけでなく、異教徒のモスク見学者にも提供する。そこでにわかに増える日本の“ラマダン女子”たち。ただダイエット感覚で断食すると、返って太ってしまうかもしれない。そもそもラマダンの目的はダイエットではなく、アラーへの信仰心を深めるためなのだから。