10月22日に投票日を迎える衆議院選挙。持続可能な開発目標(SDGs)と政府開発援助(ODA)に注目して各党のマニフェストを比べてみた。そこで浮き彫りになったのは、SDGsとODAに熱心なのは共産、公明、自民、社民の各党ということだ。(真鍋耀、齋藤玄)
■自民党
自民党は、国益を最優先した「開発協力大綱」(2015年に閣議決定された途上国の開発のための協力を目的とする指針)のもと、日本の経済発展に寄与する民間投資と途上国発展につながるODAをリンクさせることで、納税者の理解を得られる開発協力を進めていく方針だ。アジアの途上国で、援助する国の持続的な成長に貢献できる法制度の整備を積極的に支援する。
自民党の選挙公約にはSDGsという言葉は出てこない。ただ貧困撲滅、経済成長、平和と公正をもたらす法整備などを達成するための途上国支援をするとの記述がある。
■希望の党
SDGsとODAについて記述はない。
■公明党
公明党は、「平和構築、軍縮・核不拡散、保健・感染症、女性の活躍、防災など日本が得意とする分野」でODAや国際機関を活用し、SDGsへの取り組みを強化するとマニフェストに盛り込む。政府が立ち上げたSDGs推進本部のもと、国際機関、民間企業、NGO・NPOなどとの連携を進めるとしている。
具体的な取り組みとしてマニフェストに明記したのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にはインフラ整備と人材育成、アフリカ諸国には第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)の成果文書「ナイロビ宣言」(経済改革、保健システム、社会の安定)を達成するための支援、中東地域にはシリア人留学生の受け入れをはじめとする「地域の安定化に向けた取り組み」。
■共産党
日本の途上国支援の現在のあり方に否定的なのが共産党だ。開発協力大綱の撤回とODA政策の転換を求める。日本のODA支出額が近年、ピークだった1997年度の半分に減ったことに触れ、国際的な目標である「国民総所得(GNI)比0.7%をODAとして拠出する」(現在は0.2%以下)ことの実現を目指すとうたう。
ODAの中身について共産党は、従来の経済インフラを中心とする援助から、社会セクター(教育、保健、上下水道など)へシフトすべきと主張。安倍政権が進める原子力発電所や石炭火力発電所の輸出は利己的で気候変動に具体的な対策ではないと非難する。
日本のアフリカ支援についても共産党は問題視。「誰一人取り残さない」とするSDGsの立場に反していて、貧困層へ恩恵を与えず、現地の非民主主義と人権侵害行為を後押ししているとの立場をとる。
共産党はまた、ODA基本法を制定してODAの基本理念、ODAに対する国会の責任と権限を明確にする、との公約を掲げる。ODAの計画から実施までのあらゆるレベルで、NGOの自立性を尊重しつつ、パートナーとして参加を位置づける体制(予算、協議や情報発信の場の提供など)を整えるとも明記した。
SDGsとODAについて記述はない。
SDGsとODAについて記述はない。
■社民党
社民党は、SDGsを内政、国際協力の両面で適用し、貧困や飢餓の解消、基礎教育、誰もが保健医療にかかわる体制の整備、ジェンダー平等の社会構築に取り組むと約束する。だが公約では内政改革を推し進める方針を全面に打ち出していて、途上国支援について書かれていない。