ガザのデモ隊に向けイスラエル軍が発砲する「バタフライバレット」、被弾したパレスチナ人の5割が脚を切断

日本国際ボランティアセンター(JVC)が主催するイベント「『世界最大の野外監獄』ガザの病院で銃撃負傷者と向き合って」に登壇した、北海道パレスチナ奉仕団の猫塚義夫整形外科医(東京・広尾の聖心女子大学で)

パレスチナ自治区ガザで起きるパレスチナ人によるデモに対し、イスラエル軍がデモ隊を蹴散らかすために「バタフライバレット」(蝶型の弾丸)を発砲している問題で、北海道パレスチナ奉仕団の猫塚義夫整形外科医は「イスラエル軍はたったの4、5カ月で少なくとも2000人のパレスチナ人を脚の切断に追いこんだ」と述べた。猫塚医師は7月にガザを訪問したばかり。ガザでは、在イスラエル米国大使館が2018年5月にエルサレムへ移転して以来、パレスチナ人による抗議デモが激化している。

■わざと脚を狙う

バタフライバレットは国際人道法が禁じる兵器だ。実弾の大きさで体内に入り、「こぶしくらいのサイズ」(猫塚医師)で体外へ出る。特徴は、銃弾の先端が体内でめくれて、骨や筋肉、神経までを粉砕すること。猫塚医師は「血管が破壊されると脚は壊死していく」と残虐性を訴える。

猫塚医師によると、バタフライバレットで撃たれたパレスチナ人の数は18年3月末~7月で約5000人。その半数が脚を切断することになったという。

脚を失うパレスチナ人が後を絶たないのは、イスラエル軍がデモ参加者の脚を狙ってバタフライバレットを撃ち込むためだ。「脚を負傷して1人が倒れると、最低でも3、4人が負傷者を助けようとする。その結果、デモ隊がだんだん途切れていく。この流れを彼ら(イスラエル軍)は知っている」と猫塚医師は語る。

■日本は準同盟国?

ガザ地区でパレスチナ人の死傷者が急増したきっかけは、18年3月30日にイスラエルとガザの境界で18年3月30日に、パレスチナ人のデモ隊をイスラエル軍が武力弾圧したことだ。76年の3月30日は、イスラエル政府による土地収用に反対したパレスチナ人6人をイスラエル軍が射殺した事件の日。これをパレスチナ人は「土地の日」と呼ぶ。パレスチナ人らは18年3月30日から週1回のペースで、パレスチナ難民の帰還の権利を求めるデモを打ってきた。

事態を悪化させたのは、5月14日の在イスラエル米国大使館のエルサレム移転だ。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、イスラエル軍の発砲を受けて5月だけでパレスチナ人79人が死亡、約6600人が負傷した。OCHAによると、3~8月の6カ月間では130人が死亡し、約1万人が負傷した。

大使館のエルサレムへの移転で米国がイスラエルに歩み寄るなか、「日本とイスラエルも準同盟国の状態になってしまっている」と猫塚医師は指摘する。その理由として、日本にある原発のセキュリティはすべてイスラエルの民間企業が管理しているからだ、と述べた。