マラウイ版風呂敷で和風エコバッグ! 元青年海外協力隊員が日本にお届け

日本人客の間で一番人気のあづま袋。2019年7月には日本人の友人のコーヒーショップや花屋で「マラウイからきたバッグたち展」を開催した

南部アフリカ・マラウイの女性にとって、赤や黄色、青など鮮やかな色で大ぶりな柄がデザインされたコットン素材の布「チテンジ」は必需品だ。赤ちゃんのおんぶ紐にしたり、腰に巻き付けてラップスカートのようにしたり、使い方は多岐にわたる。このチテンジを使って和風エコバッグを現地の村人と一からデザイン・生産する雑貨ブランドが「ペンジャーニ」だ。

ペンジャーニは、元青年海外協力隊・マラウイ隊員の徳竹野原さんと豊田萌さんが創設したマラウイ発の雑貨ブランドだ。創設のきっかけは、村人がコミュニティ開発隊員だった徳竹さんに収入向上の相談を持ち掛けたことだった。ブランド名の「ペンジャーニ」には、あまり知られていないマラウイの魅力を探してほしいとの願いが込められている。

ペンジャーニの一番のこだわりは「Made in Malawi」を徹底すること。マラウイを訪れた観光客に土産として手に取ってもらえるようにするための工夫だ。マラウイ製の布やバナナペーパーを使って、マラウイ国内で村人と一緒に商品開発・生産をする。商品のラインナップは、チテンジから作った財布、ピアス、ブックカバー、バナナペーパーのしおり、オリジナルデザインのTシャツなど全部で12種類。

マラウイ国内の外国人向けロッジやホテルで販売する商品の中では、Tシャツをマラウイ土産として買う人が多い。Tシャツの前身衣には動物たちの絵と「ビッグ・ファイブ」ならぬ「スモール・ファイブ」の文字がプリントされている。

デザインは徳竹さんと豊田さんの2人で考案した。「マラウイでビッグ・ファイブと呼ばれるライオンやバッファローいった動物たちを見られるところはほぼない。かわりに国内のどこでも見かけるヤギ、ニワトリ、アヒル、ハト、ウサギをスモール・ファイブと名付けてみた」と徳竹さんは笑いながら話す。

日本人向けに開設したオンラインショップでの一番人気は、チテンジから作った和風エコバックの「あづま袋」だ。あづま袋とは二枚の風呂敷を縫い合わせて作られた、江戸時代から使われるかばんのこと。最近ではエコバックとして使う人も多い。お弁当入れにピッタリなSサイズから、荷物が多くなりがちな子ども連れの家庭でも使えるLサイズまでそろえる。

あづま袋の素材に使われるチテンジは、アフリカ各国で100年以上前から「アフリカンプリント」の名で親しまれている。マラウイのチテンジ専門店には一日では見切れないほどの布が並ぶ。

ペンジャーニで使用するチテンジはすべて、マラウイのチテンジブランド「マペト」の商品から厳選されたものだ。新作のチテンジが発売されると必ずチェックし、その写真を自社のフェイスブックページインスタグラム、ウェブサイトにアップする。アップされた写真の中からお客さん本人にお気に入りのチテンジを選んでもらい、製品づくりを開始するという流れだ。

「チテンジには日本のファッションのように偏った流行りがない。周りに左右されず自分のセンスにしたがって選べるところが魅力」と徳竹さん。マペト直売店の商品は月に一度以上のペースで交代する。人気の柄は発売直後に売り切れてしまうことも。二度と出会えないかもしれない、自分だけのお気に入りのチテンジから雑貨を作れるところが、ペンジャーニ最大の魅力だ。

2019年11月にはマラウイ北部の都市ムズズに店をオープンした。日本人だけでなく、マラウイを訪れた外国人観光客の間でより一層評判が広がりそうだ。

徳竹さんがデザインした「スモール・ファイブ」Tシャツ。生地にはマラウイ産のコットンを使う

徳竹さんがデザインした「スモール・ファイブ」Tシャツ。生地にはマラウイ産のコットンを使う

木工カトラリーの制作を担当する村人のもとを訪れ、改良点を説明する徳竹さん(写真右)

木工カトラリーの制作を担当する村人のもとを訪れ、改良点を説明する徳竹さん(写真右)