パーニュ(ワックス)と呼ばれるアフリカ布でポーチやリュック、服を作り、それをインスタグラムでPRし、売る女子大生がいる。西アフリカ・ベナンのコトヌーに住むセナン・マリ・ダニエルさんだ。「アフリカ布の商品ラインアップをそろえて世界に広げたい。いま注目するのは日本市場」と目を輝かす。
マリさんが作る製品のブランド名は「SENAN WAX」(セナン・ワックス)。セナム・ワックスのインスタグラムには、スカート、服、リュック、バッグなど色鮮やかな製品が並ぶ。顧客ターゲットは外国人だ。
マリさんは、アボメカラビ大学に通うかたわら、観光シーズン(7、8月)には外国人観光客を対象にしたツアーガイドのアルバイトをする。ガイドの仕事をしながら、自分が作ったアフリカ布の商品を勧めるという。
「去年(2019年)の8月は、アフリカ布でカバーした2500CFAフラン(約450円)のノート30冊、7000CFAフラン(約1260円)のアフリカ布のリュック8個を売った。売り上げは13万1000CFAフラン(約2万3700円)」と誇らしげだ。
「外国人に買ってもらうためには、その人の肌にはどんな色が似合うかを意識する。日本人の場合、派手過ぎではない色の服のほうが映える。お勧めは水色」と説明する。
ベナンにやってくる観光客を相手に商売してきたマリさんだが、2019年から米国でも売り始めた。
きっかけは、マリさんが通っていたコトヌーの起業家養成学校「Van Duyse Entrepreneurial Leadership Institute(VELI)」で、米国の経営シミュレーション教育をする会社「Stukent」のステュアート・ドラッパー最高経営責任者(CEO)が訪問授業をしたことだ。マリさんはこのとき、ドラッパーCEOのビジネスパートナーシップに選ばれた。
ドラッパーCEOは、ベナンから米国に帰国する際、400ドル(約4万3200円)分の商品をマリさんから買った。ノートにアフリカ布のカバーを付けたもの200冊だ。米国で販売したところ、すぐに売り切れたという。マリさんに追加注文が入った。
マリさんは言う。「米国ではいま、アフリカらしさを押し出した商品が売れるみたい。でも日本ではまだアフリカらしい服を着る人は少ない。日本でも、アフリカ布の製品を流行らせたい」
日本の文化を少しでも知ろうとマリさんはこの1月から、ベナンにある「たけし日本語学校」に通い、日本語を学び始めた。この学校は、フジテレビの番組「クイズ$ミリオネア」に出演したビートたけしが獲得した賞金1000万円を使って、ベナン出身のタレント(当時)、ゾマホンが建てたもの。マリさんは「日本人とは、英語ではなくて、日本語で話したい。そのほうがアフリカにもっと親近感をもってもらえるから」と話す。
たけし日本語学校にいると、日本人と会う機会が増える。「日本人がベナンにやってくるスタディツアーの英語・フランス語の通訳も、日本人学校に通っていなかったらできなかった。たくさんの日本人と接して、日本人の好みを知りたい」
いまは日本の友だちを通じて、アフリカ布製品の需要があるかどうかを調べているところ。日本で商品を売るのを手伝ってくれる人も募集中だ。