コロナ休校で3億6800万人の子どもが給食を食べられない! ホンジュラスやシリアで栄養不足の危機

WFPが提供するデジタルマップ。新型コロナウイルスの影響で、「休校措置をとった国の数」「給食を食べられなくなった子どもの数」「WFPが給食を提供していた学校が休校となった国の数」「WFPの給食が食べられなくなった子どもの数」が一目でわかる

世界食糧計画(WFP)は、新型コロナウイルスの感染拡大で相次ぐ休校措置を受け、全世界では4月18日時点で3億6800万人以上の子どもが給食を食べられなくなった、と公表した。その数がリアルタイムでわかるデジタルマップをWFPは公開。中米のホンジュラスをはじめ、シリアやスーダンなどで食料不足の危機が迫っていると警鐘を鳴らした。

デジタルマップの名前は、「CO-VIDによる休校の間の学校給食のグローバルモニタリング」。これによると、休校措置をとった国は199カ国・地域。WFPが給食を提供していたのは、このおよそ4分の1にあたる52カ国に上る。休校を理由に、WFPの給食が食べられなくなった子どもの数は約1215万人以上だ。

この数字を地域別にみると、最も影響が大きかったのはアフリカ(33カ国)で約630万人。以下、アジア(15カ国)の約425万人、ラテンアメリカ・カリブ海(4 カ国)の約153万人と続く。

国別では、ホンジュラスが最多で115万1669人。シリア(114万5000人)とスーダン(107万8157人)も100万人を超えた。

WFPが給食を支援する国・地域の子どもたちにとって、学校での食事は栄養価が唯一高いことが多い。給食がなければ、子どもは飢餓や栄養不足に直面する。“コロナ休校”は子どもたちの体の成長に悪影響を与えかねない、とWFPは危惧する。

WFPによれば、給食一食分の値段は、貧しい家庭にとって世帯月収の約1割に相当するという。給食があることで、親は、本来は畑仕事などを手伝ってほしい子どもを学校に通わせる。学校給食がなくなることは、頼りにしていた食料を失うことを意味する。

子どもとその家族が必要な栄養を得られるようWFPは、休校措置をとる各国で、給食に代わる取り組みを始めた。食料の配布や、現金または食料引換券の提供などだ。

中米ホンジュラスのグラシアス・ア・ディオス県カウキラ地区では、80人の教師が子どもの家を自転車で回り、食料を届ける。当初は、それぞれの家族で1人の大人が学校へ行き、WFPと国連児童基金(UNICEF)が配るコメや豆、油、コーンミールなどを受け取り、家に持ち帰っていた。だが校内の混雑を避けるため、やり方を変えた。

カウキラ地区の教師らは、子どもの家族に食料を手渡しする際、新型コロナへの感染を防ぐ方法を教えたり、家族の健康状態などを確認したりする。幼稚園教諭のドルラ・ヘイロックさんは「食料を届けることで、48人の園児のようすを確認できた。子どもたちも喜んでいた」と話す。

食料を届けるこの取り組みについてWFPのフィールドモニターであるカレン・サンチェスさんは「多くの子どもが家で食べるものがないなか、“給食”を受け取ってもらえたときの幸せそうな笑顔は何ものにも代え難い。先生が自転車で子どもの家を1件1件回り食料を配ることは、子どもへの深い愛情があるからだ」と述べる。