筑波大が世界の学生をつなぐオンライン交流会、英語を使って食べ物・SDGsで盛り上がる!

ツクチャットに参加する筑波大の学生と海外大の外国人学生たち。毎週水曜日の夜7時からZoomを使って開催する(写真提供:グローバル・コモンズ機構)

筑波大学の国際交流事業を担当するグローバル・コモンズ機構が11月から、筑波大の学生と海外の外国人学生をつなぐオンライン交流会を始めた。その名も「Tsuku-Chat(ツクチャット)」。毎週100人程度が参加し、その国籍は15カ国にわたる。学生たちは各国の食べ物やSDGsへの取り組みなど、さまざまなテーマで英語を使い雑談する。グローバル・コモンズ機構の小松崎まゆさんは「留学に行けない今こそ、いろんな国の人や文化を知ってほしい」と話す。

■家にいるのに留学気分

ツクチャットに参加するのは、筑波大の学生と約30の海外の大学(協定校)の学生だ。特に多いのは東南アジア。毎週の参加者約100人のうち、マレーシアが40人、フィリピンが20人、インドネシアが10人ほどを占める。少数だが、米国やフランス、オーストラリア、カナダ、タイ、中国の学生も入りまじる。

ツクチャットの流れはこうだ。学生たちをまずZoomでつなげる。その後、グローバル・コモンズ機構のスタッフが100人の参加者を4〜10人ずつのグループに分ける。

同機構国際事業係の糸井智香係長によると、会話が盛り上がるにはグループの人数が鍵だという。「初めはひとつのグループが10人になるように分けた。けれど、どうしても時間が足りず、話せない学生が出た。最近は4〜6人のグループを作るようにしている」

各グループには同機構が短期で雇う学生ファシリテーターが1人ずつ入る。会話の進行を担うファシリテーターは、筑波大に正規留学する外国人や留学経験をもつ日本人など12人。その国籍も実に多様で、日本、アルゼンチン、マレーシア、ネパール、アフガニスタン、ベネズエラ、イエメン、米国の8カ国だ。

グループに分かれた学生たちは、自己紹介や、絵しりとりなどのゲームをした後、和気あいあいと会話を始める。時間にして1時間ほど。もちろん英語を使う。テーマは毎週異なり、各国の祝日、食べ物、SDGsへの取り組みなど多岐にわたる。また、テーマについての質問が4〜5つ共有される。

「テーマはファシリテーターとの話し合いで決めている。学生の視点で楽しい交流会をつくりたい」と小松崎さん。質問を共有する理由については「ざっくりとしたテーマだけ与えると、何を話していいか遠慮しあってしまう。いくつか質問を共有することで、初対面の学生同士でも質問を投げかけあうことが増えた」(小松崎さん、糸井さん)。

たとえばテーマが食べ物の週はこんな質問があった。「珍しい食材やスパイスを使った料理はあるか?」「どの料理が一番手間がかかるか?」。この質問が功を奏してか、笑いが終始絶えないグループもあったという。

「バロットって知っているかい? フィリピンの料理で、孵化ちょっと前のアヒルの卵を茹でたものなんだ。僕は見た目が苦手で1回しか食べたことないけどね」(フィリピン人学生)

「マレーシアの朝ごはんは、何と言ってもナシルマ(ココナツライス)よ。特にアンチョビと混ぜて食べるのが最高!」(マレーシア人学生)

「同じ東南アジアでも、食べているものも、文化的な催しも全然ちがうんだね。けどこうやって笑い合えるのは一緒だ」(マレーシア人学生)

■大学院で筑波に留学したい

「留学に行けない今こそ、いろんな国の学生と話してほしい。いつか留学が再開したとき、そのつながりは大きな助けになる」

ツクチャットの意義について小松崎さんはこう話す。留学の情報を単に提供するだけでなく、人と人をつなげることが留学の斡旋になる、というのが信条だ。

ツクチャットに毎週参加する、マレーシア国立北部大学(UUM)で学ぶベネズエラ人学生のラファエル・エルナンデスさんは新型コロナウイルスの余波を受け、筑波大への留学が中止になった学生のひとりだ。「留学が中止になり、コロナで人と話せなくなった時はただただ悲しかった。けれど、ツクチャットで筑波の学生とつながりができて、活力が出た。今は筑波の大学院に進むことを考えている」と前向きになった。

マレーシアへの留学から新型コロナで帰国した野本すずさん(筑波大3年)は「マレーシアの学生と神社や仏閣の話で盛り上がった。途中で帰国して現地の学生と話し足りなかったから、留学先の学生がいるとテンションが上がる」と話す。

筑波大のグローバル・コモンズ機構は、ツクチャット以外にも2つのオンラインプログラムを提供している。英語力が中上級者向けのツクチャットに対し、日本語の解説付きでシチュエーション別に英語を学ぶ初心者向けの「G-Chat(ジーチャット)」。英語以外の第2外国語を学びたい学生向けに、それぞれ学びたい言語と教えられる言語を入力し、マッチングさせる「GOTCHAT(ガチャット)」だ。

グローバル・コモンズ機構が制作したツクチャットの広報ポスター。ポスターのQRコードから参加登録する

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