家に手榴弾が投げ込まれる
独裁政治の打破を掲げ、ピープルパワー運動を先導するボビ・ワインだが、これまで数々の妨害や弾圧を受けてきた。2017年には何者かがボビ・ワインの自宅に手榴弾を投げ込んだ。家族にけがはなかったものの、当時、ボビ・ワインと妻のバーバラ、4人の子どもが寝ていた。
ウガンダ北部のアルアで野党候補を応援していたとき(2018年)、ボビ・ワインは警察に拘束された。警察署では、棒や銃で殴られ、睾丸を握りつぶされるなどの拷問を受けた。得体の知れない注射を何本も打たれたという。解放されたとき、ボビ・ワインの顔はひどく腫れあがり、ひとりで歩くことはできなかった。
恐れない
1月14日の大統領選に向けての活動も苦難の連続だ。2020年11月に選挙運動を始めて以降、ボビ・ワインはすでに3回も逮捕された。集会を開こうにも警察や軍が幹線道路をブロックしたり、集会場に催涙ガスを打ち込んで演説の邪魔をしたりする。
11月18日には、ボビ・ワインの逮捕に抗議して支持者がデモを敢行した。これに対して政府は警察や軍を動員、制圧した。AP通信によると、これにより37人以上が死亡、350人以上が逮捕されたという。武装した私服の男たちがデモ隊に向かって実弾を発砲したとの報告もある。
ボビ・ワインの関係者にも被害が及んでいる。12月1日には友人の音楽プロデューサーが警察のゴム弾を受けて負傷した。12月28日にはガードマンがトラックにひかれて死亡。2人の支援者も警官に撃たれて病院に運ばれた。
だがボビ・ワインは弾圧に屈するつもりはない。2017年に自宅に手榴弾が投げ込まれた後、ボビ・ワインは国内ニュースメディアNBSにこう答えている。「今まで人々と約束してきたことや自分の信念と向きあったとき、この闘いをやめることはできない。これは勝つか死ぬかだ」
ボビ・ワインはまた、ドイツのメディアDWが2019年に作成したドキュメンターリーの中で、ウガンダの人々にこう訴えかけている。
「恐れてはいけない。恐怖が私たちと理想の国を隔ててしまうから。闘い続けよう。報われる日は必ず来る」