南アのサファリツアーを家のパソコンから楽しめる! 日本人ガイド「密猟を知るきっかけになってほしい」

バーチャルツアー中の太田ゆかさん。サファリカーを運転しながら、画面の向こうの視聴者に説明する

国境封鎖で33%減ったが‥‥

新型コロナ対策として南ア政府が実施した国境封鎖は結果的に、サイの密猟対策となった。環境林業漁業省が2月1日に出した報告によると、南アの2020年のサイの密猟数は394頭だった。これは2019年の594頭と比べて33%減ったことになる。クルーガー国立公園内で活動していた密猟者の数も1573人と、2019年の5分の1になった。

だがサイの密猟問題は解決されたわけではない。同省は、国境封鎖の緩和に伴い、特に2020年12月にクルーガー国立公園での密猟者の数が増えたと指摘する。

太田さんも「厳しい国境封鎖中に密猟がなかった反動で逆にいま密猟が増えている。クルーガー国立公園や周辺保護区だけでも2月後半から3月の1週目までで3件の報告があった。これはかなりまずい状況」と憂慮する。

また、コロナ禍でサイの密猟の数が少なくなった一方で、インパラやイボイノシシなどの草食動物の肉を狙った密猟は増えた。職を失ったクルーガー国立公園やその周辺で働いていた人が市場で売ったり、また自分で食べたりすることを目的に捕まえているためだ。密猟者は主に針金で作ったシンプルな罠を作り、仕掛ける。木の枝などで罠の位置に印をつけておき、数日後に捕まった獲物をとりにいくのだ。

太田さんは「草食動物をターゲットにした密猟は、サイやゾウといった“象徴的な動物”の密猟に比べて注目されにくい。問題は、罠を使った密猟だと草食動物だけでなく、ハイエナなども時々捕まってしまうこと。密猟者に気付かれずに、そのまま1年以上放置されることもある」と訴える。

麻酔を打ち、目隠しした状態でサイの角を切る

麻酔を打ち、目隠しした状態でサイの角を切る

針金の罠に誤ってかかってしまったゾウ。足に重傷を負い、安楽死を余儀なくされた

針金の罠に誤ってかかってしまったゾウ。足に重傷を負い、安楽死を余儀なくされた

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