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「日本政府や国連に対して、ミャンマー国軍に『ノー』の姿勢を示してほしい!」。これを訴えるため、在日ミャンマー人らは3月20日の朝8時から22日の午前8時までの48時間、東京・渋谷の国連大学前の広場でのハンガーストライキをした。参加者のひとりであるミョーサンウさんは「今の日本政府の対応は口先だけ。そんな綺麗事はもういらない」と語る。
日本にさようなら
ハンガーストライキの目的は、日本政府や国連へ、ミャンマーで起きている事態を見過ごさずに、具体的なアクションを起こしてほしいと訴えることだ。ミョーサンウさんは「ミャンマーも国連に加盟する国。今のミャンマーを救うのは国連の責任だ。国連や日本政府には、国軍を正当な政府として認めないという姿勢をはっきり示してほしい」と力を込める。
日本政府の対応には残念な思いや憤りしかないという。「今の日本の対応を見ていると、口先では綺麗事を言うが、実際は何もしてくれない。このまま日本が具体的なアクションを何も起こさないのであれば、それはミャンマーの人たちがどれだけ殺されても、日本は気にしない(という姿勢)と受け止める」とミョーサンウさんは声を荒らげる。
ミョーサンウさんによると、ミャンマーではどんな田舎に行ってもみんな日本を知っていて、日本の人やモノが大好きだという。だからこそ、日本に寄せる信頼や期待は大きい。にもかかわらず、今の日本はミャンマー人にとって「ミャンマーの人たちを守るために何もしない国」と映る。
「日本が姿勢を変えないのであれば、この事態が落ち着いた後、私たちミャンマー人は日本にさようならと言うことになるだろう」(ミョーサンウさん)
対照的に韓国政府は国軍を非難する姿勢を明確に出している。文在寅(ムンジェイン)大統領は3月6日、SNSを通じ、国軍による暴力を止めるよう訴えた。12日には、韓国政府として、ミャンマー国軍への対応措置を発表。アウンサンスーチー氏の釈放や、国軍による暴力を止めるよう求めている。韓国政府が具体的なアクションを起こしたことで、ミャンマー人は韓国にプラスの印象をもち始めているという。
死んでもいい
ハンガーストライキに参加したのは20数人。48時間、水以外は一切口にしない。参加者以外にも、ミャンマー人や日本人のサポーターが数十人集まった。みんなで、通行人に署名や寄付を呼びかけた。
なぜ今、ハンガーストライキなのか。ストライキも2日目に入り、水しかとっていないミョーサンウさんはこう語る。
「もちろんお腹はすごく空いている。でもミャンマーでは仲間が命をかけて戦っている。私たちも、死んでもいいという気持ちで日本政府や国連に訴えなければ」
ミョーサンウさんによると「ミャンマー国軍はテロリスト集団」と化している。民主化回復を求めるデモに参加していなかったのに殺されたミャンマー人も。国軍が夜中に勝手に家に入ってくる。車のフロントガラスを叩き割って、外に無理やり出されて、そのまま連行される。
そんな祖国で国軍と戦う同志のことを思いながら、「死んでもいい」という覚悟をもってストライキに臨んだと、ミョーサンウさんは涙ぐみながら語る。
国軍記念日にもデモ
ミャンマーでは3月27日は「国軍記念日」。1945年の第二次世界大戦で、国軍が日本の占領軍へ蜂起した日を指す。国軍はその日、式典を開く予定だ。日本は関係者を一切派遣しないと茂木外相は明言済みだ。
今回のハンガーストライキの主催団体である「軍事クーデタに反対する在日ミャンマー人非暴力活動委員会」は同じ日、国軍を正当な政府として認めないよう国際社会に訴えるため、国連大学前から表参道、渋谷方面へ大規模な行進デモを打つ予定だ。