壊れた防潮堤に橋を架けて渡るバングラデシュ・ハティア島の村人(ロヒンギャではありません)。ハティア島は、ロヒンギャ難民が移転させられたバシャンチョール島の隣にある島だ(写真提供:日下部尚徳・立大准教授)
チッタゴン丘陵への移転は危険
日下部准教授が最も避けるべきだと考えているのは、バングラデシュ南東部のチッタゴン丘陵にロヒンギャ難民を移住させる政策をとることだ。
チッタゴン丘陵にはもともとモンゴロイド系の先住民が住んでいる。バングラデシュ政府はこれまで、貧しいバングラデシュ人をここに移転させる政策をとってきた。その結果、先住民と新住民の間で紛争状態になってしまった。いまはバングラデシュ国軍が配備され、紛争は止まっている。だが先住民に対する暴力や土地を巡るトラブルは絶えない。
「チッタゴン丘陵は、バングラデシュの中でバシャンチョール島以外に土地が唯一余っている場所だ。先住民も暮らすこの場所に、ロヒンギャ難民を移転させるとなれば非常に危険。そうならないよう、国際社会はバシャンチョールなど移転先への支援に前向きな姿勢を見せなければならない」と日下部准教授は力説する。
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