アフメット氏によれば、新疆ウイグル自治区で親が強制収容された子どもたちは、中国政府が引き取って「子ども専用の施設」に入れるという。そこで洗脳教育がおこなわれ、服装など外見も中国らしいものに変える
「ウイグルの大学や出版業界などの有力人物435人以上が、2017年ごろから行方不明になっている」。日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長はこのほど、同協会主催のウェビナーでこう語った。中国政府による拘束との見方が濃厚だという。アフメット氏は「ウイグル文化を中国政府は根絶させるつもりだ」と危機感をあらわにする。
日本に留学経験ある人も
人権調査団体「ウイグル人権プロジェクト」によると、行方不明なのは、新疆教育出版社、カシュガルウイグル出版社、新疆大学、新疆医科大学などで働いていた少なくとも435人。いずれも、ウイグル文学についての教科書編集者や文芸評論家、ウイグル民族医学に精通する学者など、ウイグル文化を研究、発信する仕事をしていた人たちだ。
行方不明者のなかには、日本の東京理科大学や北海道大学などに留学経験をもつ人もいる。日本ウイグル協会が確認したところ、その数は9人。
そのひとり、新疆師範大学の教授で作家であるアブドゥカディリ・ジャラリディン氏の娘は明かす。「父は2018年1月29日に警察に呼ばれ、そのまま行方がわからなくなった。生きているのか、どこにいるのか、健康状態はどうなのか」
ジャラリディン氏の娘は続ける。
「思い浮かぶのは、父がたくさんの本に埋もれて研究にふける姿。それがいまや、犯罪者以上の酷い扱いを受けている(可能性がある)。不安で仕方がない」
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