男女格差が少ない国トップ20に途上国が7つ! ナミビア・ルワンダ・ニカラグア・コスタリカ・フィリピン・南ア・セルビア

世界経済フォーラムが発表した「世界ジェンダー格差報告書2021」。男女格差がゼロの国はまだ世界にない

世界経済フォーラム(WEF)は3月30日、156カ国を対象とした「世界ジェンダー格差報告書2021」を発表した。男女格差が少ない世界のトップ3はアイスランド、フィンランド、ノルウェーの北欧諸国。途上国に限ると、南部アフリカのナミビアが6位でトップ。以下、ルワンダ(7位)、ニカラグア(12位)、コスタリカ(15位)、フィリピン(17位)、南アフリカ(18位)、セルビア(19位)が続く。主要7カ国(G7)の一角を占める日本は120位だった。

ランキングの元となる報告書の「ジェンダー格差指数」は、「政治的なエンパワーメント(政治への参加)」「経済活動への参加と機会」「教育」「健康と生存」の4つの指標をベースにしている。スコアは、男女が完全に平等であれば1.0で、ゼロに近づくほど格差が大きいことを意味する。

「健康と生存」と「教育」の世界平均スコアはそれぞれ0.96、0.95。この2つの分野の男女格差はさほど大きくない。対照的に「経済活動への参加と機会」は0.58、「政治的なエンパワーメント」は0.22と、権力が絡む経済と政治で女性の立場はまだまだ低い。

世界経済フォーラムによると、すべての分野で完全に男女平等の国はいまだない。トップのアイスランドでも総合スコアは0.89にとどまる。

トーゴで初の女性首相が誕生

4つの指標の中で最も格差が大きかったのが、男女の政治参加の度合いを測る「政治的なエンパワーメント」だ。国会議員に女性が占める割合、官僚に女性が占める割合、女性元首の有無と継続年数などをベースに割り出す。

世界全体のスコアは0.22。前年から0.02下がった(格差は少し開いた)。男女格差が最も少なかったのはアイスランド(0.76)。ただ5、6、7位にはニカラグア(0.61)、ルワンダ(0.57)、バングラデシュ(0.55)の途上国が入った。

最下位はパプアニューギニア(0)とバヌアツ(0)の大洋州の国。イエメン(0.01)、クウェート(0.02)とイスラム教の国が続く。日本(0.06)は下から10番目の147位だった。

国会議員に女性が占める割合は全世界で26.1%。96カ国で男女差は少なくなり、特にアラブ首長国連邦(23%から50%へ上昇)やエジプト(15%から27%へ上昇)などの中東・北アフリカ(MENA)で女性議員が増えた。

閣僚に占める女性の割合は22.6%。前年から2.4ポイント下がった。減少率が最も大きかったのは、インド(23%から9%)。以下、インドネシア(24%から17%)、コロンビア(52.9%から38.8%)、ポーランド(27.3%から4.8%)の順。

女性の閣僚がひとりもいないのは、アルメニア、アゼルバイジャン、ブルネイ、パプアニューギニア、サウジアラビア、タイ、ベトナム、イエメン。

過去50年で国家元首を女性が務めたことのある国は世界で75カ国。途上国では、西アフリカのトーゴで2020年、女性が首相に初めて就いた。

経済への参加ではラオスが首位

4つの指標の中で2番目に男女差が大きかったのが、就労率や賃金などをみる「経済活動への参加と機会」だ。

世界全体のスコアは0.58だ。男女格差が一番少なかったのは、東南アジアのラオス(スコアは0.92)。バハマ(0.86)、ブルンジ(0.86)、アイスランド(0.85)、ベラルーシ(0.84)が続き、上位5カ国にランクインした。

最下位はアフガニスタン(0.18)。イラク(0.23)、イエメン(0.28)、シリア(0.29)、パキスタン(0.32)が続く。

女性の就労率や賃金が低いだけでなく、女性が昇進できないのも問題だ。マネジメント層に占める女性の比率が15%以下の国も20カ国ある。ワースト5は、最下位からイエメン(4%)、パキスタン(5%)、サウジアラビア(7%)、エジブト(7%)、バングラデシュ(11%)の順。中東・北アフリカを中心とする国が多くを占めた。

中東での経済活動で男女差が大きい要因は、働く女性の割合が極端に少ないからだ。イエメンやイラク、シリアでは、女性の20%以下しか働いていない。イスラム教の国が多く、女性の社会進出が阻まれている形だ。

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