日本ハビタット協会がケニア西部で「トイレ建設+農業支援」、野外排せつをゼロに!

ケニア西部のホーマベイ県カボンド地区で、トイレの作り方を指導しているところ。写真は、トイレの床部分(コンクリート製)

苗づくりで設置費用を稼ぐ

トイレを作るために必要な費用を住民自身が稼げるよう、日本ハビタット協会とSAWA YUME KENYAは果樹を増やす技術と養鶏技術の指導にも力を入れてきた。

指導を受けるのは、果樹を増やす技術と養鶏技術でそれぞれ、1つの村から10~12人ずつ。ホーマベイ県出身で、海外の大学で学んだ農業専門家が教える。篠原氏は「日本から農業専門家を呼ぶのではなく、地域の住民から雇用する。そのほうが住民とコミュニケーションがとれるし、気候や農業の環境を熟知している」と説明する。

果樹を増やす技術とは、取り木や挿し木のことだ。増やすのは、レモン、マンゴー、オレンジ、アボカド。「種から育てたら実を収穫するまで5年ほどかかる果樹でも、この技術を使えば苗木を植えて1~2年で収穫できる」(篠原氏)

取り木のやり方はこうだ。木の太い枝の根元に近い部分の長さ1.5センチメートルの外皮のみを剥ぐ。そこにおがくずやココナツの繊維を混ぜた栄養のある土を被せ、水を含ませてから袋で密閉。1カ月ほどで剥いた皮の部分から根が生える。根の生えた部分から下を枝から切り離すことで新たな苗木ができる。

「ほとんど費用をかけずに苗木をつくれるこの技術は革新的。ケニアでは、苗木が150円ほどで売れる。新たな収入源にもなる」(篠原氏)

養鶏技術の指導では、孵化してから1カ月の雛を住民に提供。飼い始めてから2、3カ月後には市場で売れるほどに成長する。こちらも定期的な収入になる。

こうした結果、週に300円ほど所得が向上する家庭が増えてきたという。週に150円を貯金し続けることと、マイクロファイナンス(小規模金融)グループによる相互扶助でトイレは作れるようになる。

カボンド地区の住民が作ったトイレ。LIXILが開発したSATO PAN(青の便器の部分)を利用したスタイル

カボンド地区の住民が作ったトイレ。LIXILが開発したSATO PAN(青の便器の部分)を利用したスタイル

カボンド地区の住民。トイレを設置する費用を自ら稼ぐため、農業技術の指導も受けた

カボンド地区の住民。トイレを設置する費用を自ら稼ぐため、農業技術の指導も受けた

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