審議中の入管法改正案、フォトジャーナリストら「在留資格のない人には何をしてもいいという改悪だ」

東京都港区にある東京出入国在留管理局。在留資格のない外国人が収容されている

私たちが声を上げないと!

三つ目の問題は「補完的保護」という制度の創設だ。補完的保護とは、難民としては認められないが、難民に準ずる形で入管庁が保護し、日本への在留を認める制度。

だが日本にはすでに、補完的保護と類似した制度がある。「在留特別許可」だ。安田さんは「この問題に長く携わってきた弁護士たちがいろんなシミュレーションを重ねてきた。その結果、補完的保護よりも現行の在留特別許可の方が日本にとどまれる人の範囲が広いのではないかと指摘されている。補完的保護を入れることでむしろ(日本にとどまれる人の範囲が)狭まってしまうのではないか」と話す。

改正案の懸念事項について安田さんはこう語気を強める。

「(法律の)改正とは本来、人権がより守られる、生活がより保たれる方向に変えていくもの。今議論されている入管法の改正案は、真逆の要素が含まれる。施設に収容されている人、脆弱な立場の人は声を上げられない。『適切な法改正』につなげられるのは施設の外に暮らす私たちではないか」

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