止まらないコロンビアの増税反対デモ、市民を鎮圧機動隊が殺害・レイプ

ディラン・クルスさんを殺した暴動鎮圧機動隊に対して憤る市民ら(写真はエル・パイスから引用)

「私のズボンを脱がしている」

だがこの事件の後も、暴動鎮圧機動隊による未成年への暴力は絶えない。カデナ氏は、増税に反対するデモのさなかに起きたアリソン・メレンデスさん(17)のレイプ事件を信じられないと話す。

エル・ティエンポによると、コロンビア南西部のカウカ州の州都ポパヤンで4人の警官は5月13日、デモの様子を録画したとしてメレンデスさんを逮捕。その後にレイプした。メレンデスさんは翌日自殺したという。

メレンデスさんは、実はその夜、友人の家に向かっていた。デモには参加していなかったと同紙は伝える。

逮捕されたときをとらえた実際の映像で、メレンデスさんが抵抗しているのを確認できる。左派系政党「代替民主極党(PDA)」のウィルソン・アリアス上院議員は5月14日、自身のツイッターで、メレンデスさんが映った動画を上げた。メレンデスさんの「私のズボンを脱がしている‥‥。しかも4人の男が1人の女性に」という悲痛な叫びが聞こえる。

コロナ禍で失業者も増える

デモが今回起きる発端となった税制改革とは、付加価値税、所得税、法人税などを引き上げるというもの。中間層を対象にした水道光熱費、パソコンや携帯電話といった生活必需品が19%の課税対象になる。

デモが激化する状況を受けて、ドゥケ大統領は5月2日、増税法案を撤回した。だがカデナ氏は、撤回されてもデモ抗議が続くのはコロナ禍で失業者や教育を受けられない若者が増えたからだ、と指摘する。

コロンビア国家統計局によると、2021年3月時点の失業率はコロンビア全土で14.2%、都市部では16.8%だった。新型コロナウイルスが感染拡大し始めた2020年3月時点の12.6%、13.4%と比べ、事態は悪化している。

4月28日から続く増税反対デモ。手前の文字は「(暴動鎮圧機動隊は)私たちを殺している」という意味だ

4月28日から続く増税反対デモ。手前の文字は「(暴動鎮圧機動隊は)私たちを殺している」という意味だ

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