ごみからかわいい雑貨を作る! フィリピンの元ウェストピッカーの女性をNGOロオブが支援

フィリピン・パナイ島イロイロ郊外のカラフナンごみ投棄場。ウェストピッカーがごみに群がる。価値の高いごみを手にできるかどうかでその日の稼ぎは決まる

フィリピン中部のパナイ島イロイロで活動する国際協力NGOロオブ(LOOB)は、使用済みのジュースパックからトートバッグなどを作る2人のフィリピン人女性を招き、オンラインイベントを開いた。登壇した作り手のリーダー、ロリータ・リタ・エスピノサさん(64)は「自分が作ったものを誰かが身につけてくれるのはすごく誇らしい」と嬉しそうに語った。アップサイクル(元の製品よりも価値の高いものにリサイクルすること)した雑貨をロオブは、オンラインショップや学園祭への出店を通して日本で売る。

1個2.2円で回収

商品ラインアップは、トートバッグ(1650円)のほか、パスポートケース(825円)、携帯灰皿(660円)、筆箱(990円)など。使用済みのジュースパックに描かれたイチゴやリンゴなどのカラフルな模様を生かしたデザインが特徴だ。

材料となる使用済みパックは、ロオブが主体となり、イロイロ市郊外のカラフナンごみ投棄場などから集める。資源ごみの回収施設で仕分けてしてもらったものを受け取る。

コロナ禍が始まる前は、イベント会場や墓地など人が集まる場所で使用済みパックを集めることも多かったという。2021年1月からは、飲み終ったジュースパックを住民に回収所まで持ってきてもらい、1つにつき1ペソ(約2.2円)と交換するキャンペーンも始めた。

ロオブからの注文を受け、中心になって雑貨を作るのは、エスピノサさんとロサール・サゾンさん(69)。2人ともごみ投棄場の近くに住む。アップサイクルの仕事を始めて10年以上のベテランだ。たくさんの注文が舞い込んだときは、女性がもう2人加わる。

雑貨の作り方はシンプルだ。まず、集まったジュースパックを洗剤やアルコールでひとつずつ洗う。使用済みなので、洗浄は特に念入りだ。それを必要な大きさ、形に寸断し、ミシンで縫いあわせて完成させる。

「ナナイ(お母さん)」と呼ばれ慕われる、ジュースパック雑貨の作り手たち。作り手のフィリピン人と日本人が交流できる場をロオブは作っている

「ナナイ(お母さん)」と呼ばれ慕われる、ジュースパック雑貨の作り手たち。作り手のフィリピン人と日本人が交流できる場をロオブは作っている

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