ザンビアの新大統領に野党・国家開発統一党のヒチレマ党首、雇用創出と汚職撲滅を訴え若者の支持集める

8月12日午前4時ごろ、首都ルサカにあるムルングシインターナショナルカンファレンスセンター前で、国家開発統一党の支持者が集まって祝福しているようす。写真は、ザンビア国営放送(ZNBC)のフェイスブックページから引用

投票しないと変わらない!

ヒチレマ氏が掲げたスローガンは「Vote for Change」(変わるために投票しよう)。雇用の創出と汚職の撲滅を公約にした。ルング政権下でのインフレや高い失業率、汚職にザンビア国民はうんざりしていた。

ルサカ在住で自営業のエミリー・バンダさんは「私たちはHH(ハカインデ・ヒチレマ氏の頭文字で愛称)の新しいリーダーシップのもと、『変化』を望んでいる。とにかく、新しい政権に変わってほしかった」と語る。

インフレを招く要因となったのは、政府の過剰なインフラ投資だ。ルング政権では、発電所から道路、病院、ルサカの国際空港まで次々に建設された。だが借り入れの利子が払えず、2020年11月にデフォルト(債務不履行)に。現地通貨クワチャは急落した。

“お父さん”が何とかしてくれる

若者の多くは失業問題の改善を望んでいた。ルング政権では失業率も上昇傾向。国連労働機関(ILO)の推定によると、2019年のデータで15~24歳の失業率は22.6%と高い。

ザンビアでは有権者の半数以上は35歳以下だ。若者らはヒチレマ氏を「Bally」(スラングで「お父さん」)と愛称で呼ぶ。選挙戦のメッセージである「Bally will fix it」(ザンビアの経済をお父さんが良くしてくれるという意味)も若者の間で広く受け入れられた。

ザンビアはアフリカでは珍しく、深刻な地域紛争や民族対立、長期間にわたる独裁政権がなかった国だ。1964年に英国から独立して以来、大統領が所属する政党が変わるのは3回目となるが、今回の政権交代も平和裏に進みそうだ。

ルング大統領の引き際もスムーズだった。開票結果を選管が発表した日、国営放送で自らの敗北を認め、ヒチレマ氏が7代目(次の)大統領になるのを祝福したい、と述べた。

ヒチレマ氏の大統領就任式は8月24日に行われる予定だ。

8月16日のデイリーネーションは6文字でヒチレマ氏の勝利を大きく報じた

8月16日のデイリーネーションは6文字でヒチレマ氏の勝利を大きく報じた

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