平和教育のワークショップ(写真提供:平和村ユナイテッド)
争いの火種を断つ
「情勢が緊迫した今ほど、平和の学びあいが必要なときはない」と小野山氏は強調する。これまで殺し合ってきた元政府軍兵士とタリバン兵士らが帰郷し、同じ地域で暮らすことになるからだ。住民の多くが銃をもつ中、互いの復讐やささいな対立が火種となって大きな争いが起きかねない。
アフガニスタンでは、長年にわたる紛争の影響から、暴力や武力で物事を解決しようとする考えが根深い。暴力も蔓延している。小野山氏はおおよそ10年にわたって、アフガニスタンでの平和づくりに携わってきた。2019年からは自らNGOを立ちあげ、現地パートナー団体と一緒に平和教育の活動をナンガルハル州で展開している。
平和教育の内容はこうだ。初めに住民たちは身近な争い事や解決した事例を持ち寄る。月に1回互いの経験を話すことで、どうしたら不和やもめ事を平和的な解決できるかを考えて学びあう。次の段階として、グループごとに計画した平和アクションを年に1回実践する。そうして実践された平和アクションには、戦争遺児のための絵を描くワークショップやレクリエーション、青年たちによる伝統格技大会やマラソン大会、平和読書会などがある。
小野山氏は「活動には緊張が伴うが、平和のために力を尽くす人たちがいる限りあきらめない」と、アフガニスタンでの平和活動の継続に意欲を示す。
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