コロナでバザーが中止
NINDOTをスタートさせたとき、制作者の女性らにはブランドに対する2つの思いがあった。ひとつは「自分たちが手作りするアクセサリーを通して、世界中の人に元気になってほしい」ということ。貧しさから苦労することも多い彼女らが頑張って作ったアクセサリーで勇気を与えたいという。
もうひとつは「アクセサリー作りを通して、村を活性化させたい」ということ。アクセサリーの収益はまだ多くないが、収益をMARSのグループストックとして貯め、その一部を、ドゥムログ村の子どもたちに配る栄養食の費用に充てる計画だ。「フィリピン人は自分が貧しいからといって誰かを助けないということはない。彼らの姿勢はすごいなと思う」と成瀬氏は話す。
アクセサリー事業を始めた後のMARSグループの変化は、この1年で制作メンバーが増えたことだと成瀬氏は言う。メンバーは当初の7人から10人になった。もとから在籍する人たちは50〜60代が多く、小さなパーツを使った作業が大変だったが、その作業を若い新メンバーが担えるようになった。
制作を担当するのはMARSグループだが、村の女性たちだけで材料の管理、制作、品質チェック、販売などすべての作業を担うことは難しい。そこでハロハロの現地パートナーであるNGO「SHIFT」(Sharing is Fun too)がオーダーや材料の管理をしてサポートする。また日本では、ハロハロのボランティアやインターンがウェブサイトを立ち上げ、アクセサリーを販売。インスタグラムを運用して広報活動もする。
ハロハロは新型コロナウイルスが感染拡大する前、NINDOTのアクセサリーを日本でバザーに出展していた。だがコロナ禍の今、オンラインでしか売っていない。また、制作拠点のドゥムログ村では外出禁止令が出されたため、女性らが頻繁に集まってアクセサリーを作れなくなった。2020年夏ごろのNINDOTのアクセサリーの収益は、Felizから定期的にオーダーを受けていたころの3分の1以下に激減した。
ハロハロは現在、デザインの考案や販売促進に力を入れて、今後は女性たちが金銭的に自立することを目指す。成瀬氏は「アクセサリーの収益が減るなど厳しい中でもやる気にあふれるセブの女性たちが作るアクセサリーをもっと多くの日本人に知ってほしい」と語る。