オープンした美容室で、ヘアシェービングをする卒業生たち。グループの中には、より客が見込める学校の近くに開業するグループもある。ブルンジでは、男女共に頭髪の校則が厳しく、規定より伸びていると教室に入れてもらえない
卒業生が4店舗オープン
10カ月の訓練の最後には卒業試験がある。編み込みなど5種類のヘアスタイルの実技試験だ。訓練生21人は全員合格。2019年4月には5〜6人でグループを作ってムランビア県を中心に美容室を4店舗オープンした。
テラ・ルネッサンスは開業も支援した。バリカンや洗髪台などの機材、家賃3カ月分、その他必要なものを買えるように現金1万円を支給した。マーケットの規模が大きい町で開業したグループには、機材を運ぶ運送費もテラ・ルネッサンスが負担した。支援の総額は1店舗あたり日本円にして2万2000〜3万3000円だ。
古岡さんは「ブルンジでは教師の月給が100ドル(約1万1000円)。世銀の調査によると、農家の月収が約8ドル(約900円)ぐらいなので、300ドル(約3万3000円)を工面するのは彼らにはとても難しい」と語る。
オープンした後も、テラ・ルネッサンスは各店舗を回って、必要に応じて助言し続けている。オープン当初は、客の注文に応えられずせっかくのチャンスを逃してしまったり、仲間内で揉めてしまうこともあった。帳簿がきちんとつけられず、賃貸料の支払いが難しくなったグループもある。
タンザニアで開業したい
グループから離れ、自分ひとりで店をもった美容師も出てきた。より稼げるブジュンブラに出店。古岡さんが訪問した時にも、店は繁盛し、客も満足そうに帰っていったという。彼の夢はタンザニアで開業すること。そのために資金を貯めているという。
おもしろいのは、人をきれいにする職業のおかげか、収入が増えたからか、卒業生がみるみるおしゃれになっていること。恰幅もよくなったという。「路上に戻ることなく生活できているようで嬉しい」と古岡さんは話す。
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