カンボジア沿岸地域で採掘された大量の砂。砂を採る際の森林伐採で、川の沿岸部の地形は崩壊。マングローブや魚の数が減る。生態系のバランスが狂うので、近隣の住民は生計を立てられなくなるという(©Mother Nature Cambodia)
砂770億円分を操作
政府や軍、民間企業に圧力をかけるため、MNCはフェイスブックやツイッター、ユーチューブで短い動画を配信し、環境保護の必要性を伝える。
国内で100万回以上再生された動画は、MNCのメンバー1人が、自分の体を首まで砂に埋めたもの。ダビットソンさんは「政府が操作した砂の輸出量を表わした」と明かす。カンボジアが2018年にシンガポールに輸出した砂の量は300万トン。だが実際は7500万トンだったと判明した。差の7200万トンは、7億ドル(約770億円)に相当するという。
ダビットソンさんによると、カンボジアの間接税務局や鉱山エネルギー省などの政府機関と、水底の砂を掘る浚渫(しゅんせつ)会社は共謀関係にあった。
同じ年、採掘された砂を輸出する大型船を、別のMNCメンバーが小舟に乗りながらスマートフォンで撮影した。その結果、このメンバーは5カ月間獄中で過ごす羽目に。罪状は「プライバシーの侵害」と「社会に不安をかき立てた」だったという。
ダビットソンさんは「本当に法律で罰するべきなのは、禁止された沿岸地域の砂の採掘や輸出。でも実際は(それを訴える環境活動家が捕まっているので)環境保護を罰する目的で法律が使われている」と語る。
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