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ビールを飲んで難民を救う
そこで田渕さんが目を付けたのがクラフトビールだ。クラフトビールは他社に生産を委託し、自社のブランドで売るというOEMが一般的だ。ビールを醸造する機械などがなくても、ビールビジネスに参入できる。
スポーツ業界でもプロ野球の横浜ベイスターズなど、自チームのロゴ入りビールを販売するチームは増えている。スポーツビジネスに長く携わる田渕さんは、OEMビールを使って資金調達をしようと考えた。
田渕さんは、これまで多くのクラフトビールの生産を手がけてきたビール会社「江戸東京ビール」と契約した。レフュージーエールは江戸東京ビールがストックする未発売のビールの中から、大のお酒好きを自称する田渕さんが選んだ逸品だ。
資金調達にビールを選んだもうひとつの理由は、ビールが嗜好品だからだ。ビールを買って飲めば、楽しい気持ちで難民支援に参加できる。
「難民問題は固いイメージがある。また島国である日本では難民問題をどこか遠くの出来事だととらえがちだ。みんなが好きなビールを使って、日本人と難民をつなげたい」(田渕さん)
だがクラフトビールによる資金調達には課題もある。資金に限りがあり一度に発注できる量が少なく、ボトル1本当たりのコストが高くなってしまうのだ。今の資金では330ミリリットルのボトル1本あたりの生産コストが1000円近くになってしまう。
そこで田渕さんが思いついたのが、クラウドファンディングによるレフュージーエールの先行販売だ。難民選手を支援するためのビールプロジェクトという形でクラウドファンディングを立ち上げ、リターンとしてレフュージーエールをプレゼントする。
「レフュージーエールの知名度が上がれば注文も増える。そうなると一度に多くのロットを発注でき、1本当たりのコストを抑えられる。レフュージーエールを600~700円で売れれば勝機はある」と田渕さんは青写真を描く。
田渕さんは今後、アフリカ料理店やスポーツチームと協力してレフュージーエールを販売する予定だ。ビジネスが軌道に乗れば、コーヒーなどアフリカの特産物を混ぜたビールも開発してみたいと意気込む。
「レフュージーエールを買ってもらえると、より多くの難民選手を支援できる。彼らが活躍すれば、難民の背後にある紛争にも目がいくはず。ビールを売って、難民を減らすのに貢献したい」(田渕さん)