2008年憲法を改正する
――2021年に起きたクーデターに反対し、国軍に抵抗する市民運動は「春の革命」と呼ばれる。KNUは春の革命をどう考えているか。
「素晴らしい動きだと思う。CDMに参加する人、PDFに入って戦う人、デモをする人、彼らのことを尊敬し感謝している。KNUも含めみんなのバックグラウンドは違うが、反国軍、反独裁というところで一致している。彼らは我々のきょうだいのようなものだ」
――クーデターを機にKNUに対するビルマ族(ミャンマーの人口のおよそ7割を占める)の見方も変わってきたと感じるか。
「そう感じる。ミャンマー政府によるプロパガンダのせいで、かつてはKNUは政府転覆をもくろむ組織だの、暴徒だのいろいろ言われた。しかし時代は変わった。今ではKNUは正義のために戦っていると多くのビルマ族が理解するようになった。
KNUが発足した1947年以来、KNUはカレン族にしか支持されてこなかった。だが今は多くのミャンマー国民がKNUを支持してくれる。これは私たちにとって大きな変化だ。
KNUの創始者、サウバウジが70年以上前に言っていた言葉。
『カレン族だけでなく、ビルマ族をはじめ他の民族の理解があって初めて真の連邦制が実現できる』
これが今、現実のものになろうとしている」
――民主派はNUCCの創設やPDFへの訓練をして少しずつ力をつけてきている。だが国軍の軍事力は強大だ。しかも国際社会は効果的な手を打てないでいる。今後、国軍とどう戦い、民主主義を取り戻していくのか。
「たしかに国軍は強力な武器を持っている。しかし勝敗は武力だけで決まるわけではない。我々は外交的な交渉や経済的な制裁も使って相手を追い詰めることができる。
何より我々には民主化を望む多くの市民との強いつながりがある。彼らは強い意識をもって戦うだろう。反対に国軍の方は軍備はしっかりしているが、兵士のモラルは低い。
国軍は兵士のリクルートにも苦労している。国軍はミャンマー市民から嫌われていて、親は子どもを国軍には絶対に送らない。
他の民族革命組織との協力も進んできた。1月31日はカレン族にとって革命の日なのだが、式典に他の民族革命組織であるアラカン軍(AA)、シャン州のタアン民族解放軍(TNLA)やミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)が参加した。そこでKNUのリーダーシップを歓迎するとコメントも発表している。時間が経てばもっと多くの民族革命組織がNUCCに参加するはずだ。
我々は2022年のうちに国軍を打ち倒し、民主政権を樹立することを目指している」
――民主派が国軍を倒し、民主政権を取り戻した後、どんなプランを描いているか。
「まずは2008年憲法の改正に取り掛かる。KNUやNLDは独自の憲法草案をもっており、NUGの中にも民主連邦制の憲法草案を考える部署がある。草案を作るのにそんなに時間はかからないだろう。
民主政権ができたとき、我々の念願である民主連邦制を記した憲法に反対する人はもういないだろう」