ウガンダ・アチョリ族の間で流行した謎の「うなづき症候群」、2000人の子どもを見捨てないで!

うなづき症候群の患者とその家族が参加するミーティングのようす。課題を共有する(うなづき症候群対策ネットワークのホームページから引用)

ウガンダでの調査再開へ

西氏が所属する研究グループは2022年9月に、コロナ禍で中断していたウガンダでの調査を再開させる予定だ。

調査の目的のひとつは、知的障害などをもつうなづき症候群の患者が自立できるようどんな支援が必要なのかを探ること。ふたつめは、この病気を含め、地域社会が抱える問題と支援のニーズを住民から直接聞くこと。日本から作業療法士も同行させ、ウガンダの医療関係者とリハビリのノウハウを共有していく。

うなづき症候群の患者の家族を支援する必要があるのは、うなづき症候群を患う子どもがいると目が離せなくなるため、家事や仕事をするのが難しくなるためだ。ひとつの世帯に複数の子どもが感染するケースもあり、患者の自助支援だけでなく、家族への支援も欠かせない。

西氏は「てんかん発作への偏見から通学を拒まれたり、知的障害のために教育機会を失ったりする子どもも少なくない。国営の診療所で抗てんかん薬を無償でもらえるが、薬の種類も職員の知識も限られている。適切な治療が根づいていない」と話す。

うなづき症候群は、世界保健機関(WHO)が定める「顧みられない熱帯病(NTDs)」のリストにすら登録されていない。そのため研究データが足りず、感染経路や特定の時期に流行した原因など、いまだにわかっていないことが多い。

ウガンダ北部のグル県にある農村で、うなづき症候群の患者と家族のグループが畑を耕しているところ(うなづき症候群対策ネットワークのホームページから引用)

ウガンダ北部のグル県にある農村で、うなづき症候群の患者と家族のグループが畑を耕しているところ(うなづき症候群対策ネットワークのホームページから引用)

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