【Yalla!女子大生のドバイ留学日記①】語学学校にはタイ人が一番いっぱい、なんでなの?

筆者が通う語学学校が入るビルの36階から見たドバイの街並み。金色や銀色に光る高層ビルがそびえる。建設中の高層ビルも多い

コロナ禍のせいで、計画していた交換留学が2回も中止になった大学4年生の私。留学の夢が諦めきれず、ついに休学してアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに飛び出した。68を超える異なる国籍の生徒が集まる語学学校で約半年間、英語を学ぶことに。学校に通って気づいたのは、とくにタイやコロンビア、トルコの出身者が多いこと。初回のテーマは、タイ人のドバイ留学事情だ。

大学では中国語専攻

6月4日の早朝5時、10時間のフライトを終えた私がドバイ空港で初めて話したのが、タイ人の女子大生、フィルムさん(18)だ。同じくらいの時間に空港に到着したため、語学学校が派遣する運転手の車に乗り込んで一緒に寮へ向かう。寮に着くと、私たちは偶然ルームメイトだと判明。まだお互いのことをよく知らないのに、手を取り合って喜んだ。ドバイでできた初めての友だちだ。

フィルムさんは、タイ・バンコクに隣接するパトゥムタニ県出身。ここにある私立ランシット大学で中国語を学ぶ1年生(8月から2年生)だ。大学3~4年生の2年間は、北京か、水墨画に出てきそうな漓江(りこう)の川下りが有名な桂林(広西チワン族自治区)のどちらかに留学する予定だという。

「中国にも2年留学する予定なんだ! すごいね」。私は驚いた。

「1年生が終わるところだから、中国語はまだあんまり話せないけどね」とフィルムさんは言った。

「そっか。でも中国語が専門なのに、どうしてわざわざ英語を勉強しに2カ月くらい留学しようと思ったの?」

「英語はやっぱり、日常生活でも旅行でも仕事でも勉強でも使うすごく大切なものでしょ。だけど、タイで受けてきた英語の授業は文法メイン。もっと話せるようにならないといけないと思ったの」

「それはわかるけど、ドバイを選んだのはどうして?」

「もともとドバイみたいな、高層ビルがたくさんある大都市に憧れていたの! 大学は、母親のそばで暮らしたくて、寮に入らずに済む地元の学校を選んだけどね。あと、留学エージェントのスタッフが言った『英語が公用語』『働くことも可能』『語学学校の先生は米国や英国から来たネイティブ』というセリフに惹かれたんだ」

話を聞きながら私は、自分がドバイを選んだ決め手「英語が母国語ではない人たちと英語でたくさん交流したい」を思い出した。

韓国・米国にも留学したい!

フィルムさんにはまた、意外な事情もあった。本当は韓国留学が第一希望だったが、韓国語の語学力が足りず断念した。彼女は、世界的に人気の韓国発7人組男性グループ「BTS(防弾少年団)」のファン。KPOP全般が好きで、韓国語を話せるようになりたいと思ったという。もっと勉強して、できれば大学を卒業してから留学したいらしい。

「いつか韓国にも留学できたらいいね。応援するよ!」

こう言いつつ私は正直、「えー、また留学! なんてお金持ちなんだ。そもそも、一体どうしてそんなに大きな夢を描けるの?」と思ってしまった。

フィルムさんには、米国の大学院に進学してさらに英語を学ぶという夢もある。

「中国語や英語、第二外国語で履修しているフランス語など、言語の勉強自体が好き。外国語はもちろん難しいけど、話せるようになったら外国で仕事がしやすい。とくに興味がある仕事はホテルの受付やCA(キャビンアテンダント)。世界中から来るお客さんと接することができるから」(フィルムさん)

対する私は、留学から帰ってきたら日本の大学に復学して、就職活動をして、会社で働いて、と「日本ベース」の思考からどうしても抜け切れない。

私は将来何をしたいのか。日本で働きたいの? 海外に出たいの? 今できることに全力投球してきたけれど、ちっとも先を見れていないな‥‥。羨ましさ、尊敬、焦り、もどかしさが交錯する。

フィルムさんはほとんど毎日、寮から学校までの片道40分のバスの車内から、金色や銀色に輝く高層ビルや何本も重なる高速道路の写真を撮って自分のインスタグラムのストーリーズにあげている。1日10件を超えることもざら。夢に向かう彼女の姿がまぶしく感じる。

タイ人の女子大生フィルムさん(左)と筆者(右)。ドバイに到着した日の夕方、寮の近くを一緒に散歩した時に撮影

タイ人の女子大生フィルムさん(左)と筆者(右)。ドバイに到着した日の夕方、寮の近くを一緒に散歩した時に撮影

1 2