世界経済フォーラム(WEF)は7月13日、2022年版のグローバルジェンダーギャップ報告書を発表した。男女平等が最も近い国は北欧のアイスランド(スコアは0.908。1が完全な平等)、最下位(146位)はアフガニスタン(同0.435)だった。トップ20に、途上国からはルワンダ、ニカラグア、ナミビアなど7カ国がランクインした。日本は116位で、ブルキナファソ(115位)とほぼ同レベル。
明暗分かれるアフリカ諸国
ジェンダーギャップ指数は、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つをベースに計算する。世界全体の達成度は68.1%(スコアでいえば0.681)。4つの分野のうち達成度がダントツで低かったのは政治(22.0%)。健康と教育はそれぞれ95.8%、94.4%とまずまずの数字だった。経済は60.3%。WEFは、男女が完全に平等な国は地球上にひとつもなく、達成するまであと132年かかるとしている。
途上国でトップ(男女格差が最も小さい)だったのは、東アフリカのルワンダ(全体では6位)。これに続くのが、中米ニカラグア(7位)、南部アフリカのナミビア(8位)、中米コスタリカ(12位)、東欧のモルドバ(16位)、フィリピン(19位)、南アフリカ共和国(20位)、東アフリカのブルンジ(24位)、メキシコ(31位)、アルゼンチン(33位)、東アフリカのモザンビーク(34位)、南米ガイアナ(35位)など。
途上国のトップ12カ国をみると、サブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカと中南米がそれぞれ5カ国ずつ占めた。アジアはフィリピンのみ。
対照的に、男女格差が最も大きかったのはアフガニスタン(146位)。それ以外のワースト20は下から、パキスタン、コンゴ民主共和国、イラン、チャド、マリ、アルジェリア、オマーン、ベナン、カタール、モロッコ、インド、コモロ連合、コートジボワール、マラウイ、バーレーン、クウェート、エジプト、ニジェール、サウジアラビア。
ワースト20カ国を地域別にみると、サブサハラアフリカと中東・北アフリカ(MENA)が8カ国ずつ、南アジアが4カ国だった。
国会議員の49.4%が女性!
途上国トップ(全体で6位、スコア0.811)のルワンダを詳しくみると、特筆すべきは、政治分野の女性進出が進んでいること。閣僚の45.16%を女性が占める。国会議員の38.7%、上院議員(定数26人)に限っても34.6%(9人)が女性だ。国政レベルでは女性議員の枠(クオーター制)があることも大きい。また経済の分野でも、女性が経営トップを務める会社は全体の21.8%にのぼる。
途上国2位(同7位、0.810)のニカラグアも同じく、政治分野での女性進出が顕著。国会議員(一院制)の49.4%、閣僚の41.18%が女性だ。ニカラグアも国政レベルでの女性議員のクオーター制がある。また、女性が経営トップの会社は27.0%と全体の4分の1以上。
途上国で3位(同8位、0.807)に入ったのがナミビアだ。ルワンダやニカラグアと違ってクオーター制を導入していないにもかかわらず、国会の女性議員の割合は44.2%と高い。ただ上院に限ると14.3%へ下がる。女性の閣僚も全体の39.13%。意外なのは、ナミビアで女性に投票が認められるようになったのは1990年とわずか30数年前であることだ。
また、女性が経営トップの会社は全体の27.4%と、ルワンダとニカラグアをしのぐ。