【Yalla!女子大生のドバイ留学日記②】英語の勉強+就活にも忙しいコロンビア人、留学は隠れ蓑?

ルイサさん(写真左)と筆者(写真右)。今月初めに砂漠ツアーに一緒に行き、ラクダに乗った時のようす

語学学校に通い始めて約2カ月。タイ人と同じくらい頻繁に出会うのがコロンビア人だ。中南米だとブラジル人やペルー人、ボリビア人もいるが、コロンビア人が圧倒的に多い。飛行機で20時間以上もかけてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイにはるばるやって来るのはいったいどうしてなのか。前回(第1回)はこちら

アメリカのビザは取れない

ドバイ旧市街を訪れる学校主催のアクティビティに参加した時、あるコロンビア人の女子大生と出会った。ルイサ・ヴァレリア・ナランジョ・リアノさん(23)だ。学校で上から2つ目の英語レベル(中上級)をもつ。

ルイサさんは、コロンビアの首都ボゴタにあるコロンビア・リブレ大学で法律を6年学んできた。今年6月1日までの約1年間、弁護士としての実習があり、それが終わった2日後にドバイへ来たという。大学は2022年10月に卒業する予定。彼女にとっての初海外が今回のドバイだ。

「語学学校にはコロンビア人がすごく多いよね。留学先にドバイを選んだのはどうして?」。私は、留学生活が始まってからずっと抱えてきた疑問をぶつけた。

「コロンビアからだと、ビザが要らないからよ。3カ月間はパスポートさえあればUAEに滞在できる。留学に人気のアメリカやカナダ、イギリスのビザは取るのが難しい。アメリカが一番人気だけど、ビザが下りるまでに1年もかかってしまう」。ルイサさんは少し顔を曇らせる。

ビザを取るだけで1年もかかるなんて、日本のパスポートをもつ私はこれまで考えたこともなかった。よく「日本のパスポートは信頼度が高い」、「日本人だと、入国時に身分や荷物を事細かに確認されない」と聞く。何とも言えない現実に気まずさを感じざるを得ない。

「コロンビアでは、アメリカの次にドバイが留学先として人気っていうこと?」。私は続けて聞いた。

「んー、ドバイは本当に最近、留学も就職もできる場所として注目されてきた感じね。語学学校に通うコロンビア人の8割は、英語の勉強と仕事探しを両立しているわ。私みたいに、勉強目的で来る人はレアね」。ルイサさんは周りにいたコロンビア人に目をやって答えた。

弁護士ではなくホステスとして働く?

とはいえ、3カ月間の留学中に仕事が見つかれば、ドバイで1年働くことも考えているルイサさん。先日受けたというレストランのホステスの仕事の月給は5000ディルハム(約18万3000円)。これはコロンビアで弁護士として働く場合の初任給の2倍にあたるという。

「給料の高さというより、ドバイが好きになったから働くことにも興味が出てきたの。でもそうすると、コロンビアで法律の勉強をしてきた6年をドブに捨てることになる。資格が使えなくて、ドバイで弁護士はできないからね。せっかくなら弁護士として働きたいしコロンビアに帰ろうかな」とかなり迷っているルイサさん。

どこでも自由に身軽に働くか、自分の国で堅実に働くか。時には、資格や肩書きが邪魔することがあるかもしれないと私は思った。

「留学期間はあと1カ月でしょ。仕事が見つからなくてコロンビアに帰ることになったらどうするの?」。彼女が考えている将来が気になる。

「コロンビアで弁護士として働くつもりだけど、まずは修士(法学)の勉強と旅行をかねてカナダかスペイン、トルコの大学院に進みたいな。私はひとりっ子でいとこもいない。その上ずっと実家暮らし。ドバイ留学も含めて外国で生活することは、自立するための挑戦よ」。ルイサさんは目をキラキラ輝かせる。

前回インタビューしたタイ人同様に、外国へ飛び出したい気持ちが強い彼女。話を聞くだけで、「生涯ずっと日本にとどまっていてはいけないよ」と誰かに諭されているかのような刺激を受けた。

学校近くのクラブで先週開かれた、コロンビア人ばかりが集まるダンスパーティーのようす。テレビ画面にはコロンビア国旗が映し出されている。コロンビア人の女子大生ルイサさんに連れて行ってもらった

学校近くのクラブで先週開かれた、コロンビア人ばかりが集まるダンスパーティーのようす。テレビ画面にはコロンビア国旗が映し出されている。コロンビア人の女子大生ルイサさんに連れて行ってもらった

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