8月9日に実施されたケニアの大統領選挙の開票結果が、4日経った8月13日現在も発表されていない。このためケニア国内では不正を疑う声が高まっている。首都ナイロビのゲストハウスで働くウィリアム・オムカンゴさんは「集計に時間がかかりすぎている。緊張が高まればまた暴動に発展しかねない」と心配する。
投票所は全国4万カ所以上!
ケニアの大統領選は米国のように州別での集計ではなく、全土をひとつの選挙区とした戦いだ。
選挙を管理する独立選挙区割り委員会(IEBC)のメンバーは各投票所で票を集計し、その結果を34Aと呼ばれるフォームに記入する。それを画像にし、ナイロビにあるIEBC中央本部に転送する。また34Aのハードコピーも陸路でナイロビに輸送する。中央のIEBCはその両方を確認して、初めて集計を開始するのだ。
だが今回設置された投票所はケニア全土で4万6226カ所。ナイロビから離れているところも多く、交通の便も悪い。このプロセスが新大統領の発表を遅らせている。
この発表の遅れにウイリアムさんは「ケニア全土でいま、緊張が高まっている。心配で夜も眠れない」と不安を口にする。
フェイクニュースが混乱に拍車
発表の遅れに乗じて湧き上がるのがフェイクニュースだ。選挙が始まって以降、大統領候補のウイリアム・ルト氏(副大統領)の政党「統一民主同盟(UDA)」が票を集計するコンピューターをハックして自分たちに有利な集計結果を流している、といううわさがSNSで出回るようになった。
IEBCは12日の午後、それは間違った情報で、IEBCのコンピューターがハックされたことはないと発表した。
政党間での異議申し立ても始まった。ロイター通信によると、ウフル・ケニヤッタ現大統領の政党「ジュビリー」のジェレミア・キオニ書記長は11日、「マウントケニアエリアの33の国会議員選挙区で大規模な不正があった」とルト氏を批判した。
ジュビリーはこの選挙でルト氏の対抗馬であるライラ・オディンガ氏(元首相)を支持している。
マウントケニアエリアはキクユ人が多く住む地域だ。前回の選挙ではキクユ人であるケニヤッタ氏が多くの票を獲得した。だが今回は、ケニヤッタ氏がオディンガ氏を支持しているにもかかわらず、カレンジン人であるルト氏が圧勝。キオニ書記長の声明は、そこに不正があったと主張するものだ。
ジュビリーはこの声明の証拠を示していない。だがオディンガ氏と同じルオ人の人たちは、この発表を受けて不正があったと声を上げている。