中米コスタリカの障がい者のサポートにつながるコスタリカ産のコーヒーを日本で売る会社がある。東京都港区に本社を置くNatuRica(ナチュリカ)だ。同社を経営するのは、青年海外協力隊員としてコスタリカで活動した経験をもつ3人の女性。代表の大島愛さん(35)は「日本にいてもコスタリカとつながっていたい」と語る。
すっきり味で飲みやすい
ナチュリカの目玉商品は、コスタリカ南部ペレスセレドン特産の「デルバジェ(Del Valle)」コーヒー。この地域の農業組合コペアグリが立ち上げたブランドだ。値段は、250グラムのロースト豆で1280円、5袋のドリップバッグ730円、水出しバッグで2500円などだ。
大島さんは「デルバジェのコーヒーは口当たりが柔らかいし、甘みもある。癖は少ない。買ってくれた人からは『すっきりしていて飲みやすかった』『コーヒーが苦手だけどミルクなしで飲めた』といった声をもらう」と喜ぶ。
販売方法はオンラインショップのほか、レストランへの卸売りやイベントへの出店など。2022年7月には、コスタリカ関連の商品を扱う企業が東京銀座に集まる「コスタリカ・アクティベーションフェア」にも参加した。「オンラインと違い、イベントではナチュリカのことを知らなくてもふらりと来てくれる人がいる。知ってもらう良いきっかけだし、人脈も広がった」(大島さん)
ナチュリカがコスタリカの障がい者を支える方法は、コペアグリが生産・販売するコーヒー豆を仕入れる際、同じペレスセレドンにある障がい者自立支援センター「モルフォ」を通して注文を出すことだ。手数料としてナチュリカがモルフォに払う金額は仕入れ額の20%にも達する。オーダーの頻度は3カ月に1回ほど。大島さんは「微々たる額かもしれないが、少しでも助けになれば」と話す。
障がい者でも自立生活を!
モルフォが目指すのは、障がい者でも「自立して生活できる」という理念を広めること。たとえ体が動かなくても、介助者に意思を伝え、介助者が代わりに動けば、家族と離れて暮らしたり働いたりできるという考え方だ。
自立生活のポイントは、何をするのか決めるのはあくまで障がい者自身であること。そのため介助者には「引き出しの一番上に入っている赤いシャツを取って」のように具体的に伝える。
モルフォが立ち上がったのは2012年。協力したのは、兵庫県にある障がい者自立支援センター「メインストリーム協会」と国際協力機構(JICA)だ。モルフォはこれまで、介助者の養成、障がい者とその家族に対するカウンセリング、車椅子の修理などを手がけてきた。コスタリカ国内での活動にとどまらず、コロンビアやボリビア、アルゼンチンなどでも自立生活の理念を広めるためのセミナーを定期的に開く。