【Yalla!女子大生のドバイ留学日記④】メトロの駅名の多くが会社名! ややこしい?ややこしくない?

私の最寄り駅DMCCの駅舎にメトロが入っていくようす。毎朝この景色を見て英語学校に登校する

ATMでお金が出てこない!

マックスとエーディーシービー以外にも、会社名がついたメトロの駅はたくさんある。その数は、主にドバイ中心部を走るレッドラインだと36駅のうち12駅、中心部から旧市街を走るグリーンラインだと18駅のうち2駅だ。

ちなみに、私が使う最寄り駅はレッドラインのDMCC(Dubai Multi Commodities Centre=ドバイ・マルチ・コモディティ・センターの頭文字)だ。オフィスがたくさん入った金色や銀色に輝く高層ビルがずらりと並ぶビジネス街。「ディーエムシーシー」という駅名アナウンスもかっこよく聞こえる。

駅名になっている会社名を見て目立つのは金融業。オンラインで海外送金サービスを手がけるUAE Exchange、中東大手のインターネット銀行Mashreq、電子商取引のEquiti、そして先のADCBだ。それぞれがそのまま駅名になっている。金融が力をもっていることを知って、まるで日本のバブルのようだなと思った。私はまだ生まれていないけれど。

このなかで私にとって思い出深いのがMashreqだ。学校の寮からアパートに引っ越してきた日、1カ月1700ディルハム(約6万7000円)の家賃をカードではなく現金で払わないといけなくなった。最寄りのATMを探して出会ったのがMashreqだ。

だが自分のVISAカードを差し込んだのに、いくら待っても肝心の現金が出てこない。「お金はいったいどこにいっちゃったの?」と不安になり、何度も引き落としの通知メールが来るかどうかを確認した。結局、何も引き出されておらず安心した。

そもそも、ドバイ市内のほとんどの場所でカードが使えるのになぜ家賃は現金払いなのだろう。他のアパートに住む日本人の友だちに聞いても「現金払いだよ。毎回ATMで引き出すのが面倒くさい」と言っていた。

近未来都市なのに意外と遅れている部分もあるし、金融業が力をもっているはずなのに‥‥矛盾している気がしてしまう。

パキスタン人の話を勘違い

思い出といえば、グリーンラインの終着駅エティサラットにもある。これは私がスマートフォンのSIMカードを買った、UAEで1、2を争う大手通信会社の名前。もう1社のduは、市内で使える公共Wi-Fiを提供するものの駅名にはなっていない。

「俺はエティサラットで働いているんだ」

ペルシャ湾のディナークルーズに参加した時に私に声を掛けてきたパキスタン人男性がこう言っていた。当時の私は、あの通信会社エティサラットの社員だと勘違い。

「私、そこのSIMカードを使ってるよ」と言うと、「ん?」という表情。会話が噛み合わない。今から考えればおそらく、職場の最寄り駅がエティサラットということだったのだろう。

つまり、この駅にエティサラットの本社はない。日本でいう、JR御茶ノ水駅にお茶の水女子大学があるわけではないのと同じだ。少しややこしいが、アラビア語の駅名よりは覚えやすそう。人口の8割が外国人だからこそ、わかりやすい英語の名前に置き換えているのかもしれない。

ネーミングライツで運賃抑えている?

ドバイで生まれ育ったイギリスの大学に通う女子大生によると、レッドラインが2009年9月に、グリーンラインが2011年に開通した時は、ほとんどの駅名が地名だったとのこと。おそらく企業は宣伝目的で、メトロを所有するドバイ道路交通局(RTA)に自社の名前を売っているのだろう。

このネーミングライツで運営資金を得ているとしたら、物価が日本と同じか少し高い割に運賃が安いのも頷ける。運賃は、距離によるが片道3~7.5ディルハム(約120~300円)。庶民が気軽に乗りやすいよう、あえて安く設定しているのかもしれない。足を延ばしたいけれど、お金がそんなにない学生の私にとってありがたい。

ただ本当のところはよくわからない。ドバイ道路交通局がメトロに加えて運営するトラム(路面電車)と公共バスの運賃も、メトロとほとんど同じ。そのうえ、駅にたくさん会社名がついているのはメトロのみで、トラムやバスの駅は地名のままだからだ。ちなみに地名の多くは、英語の「the」にあたるアラビア語「al」から始まる。

ドバイメトロは実は日本とのかかわりが強い。線路の工事を担ったのは、三菱重工業・三菱商事・大林組・鹿島建設・トルコのYapi Merkeziの5社。水色を基調とした車両も、日本の近畿車輛が製造したものだ。

最寄り駅のDMCCの改札でチャージ型の交通系ICカード「nolカード」をタッチする私。ノルはアラビア語で「運賃」の意味らしいが、私はつい日本語の「乗る」だと思ってしまう。車内での居眠り禁止(飲食も禁止)といった「ドバイルール」を忘れずに、女性+子ども専用車両に乗り込む。さて今日はどこへ行こうか。(続く

メトロの乗り場。写真はADCB駅。ピンク色の表示の部分は、女性+子ども専用車両

メトロの乗り場。写真はADCB駅。ピンク色の表示の部分は、女性+子ども専用車両

水色を基調としたメトロの車両。無人運転だが、緊急時の呼び出しボタンはついている

水色を基調としたメトロの車両。無人運転だが、緊急時の呼び出しボタンはついている

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