「副作用はない」
「クラトムはカフェインとほぼ同じだ」
スパットさんがこう言うように、クラトムの主な効果は覚醒作用だ。東南アジアの人々は昔から、目覚ましとしてクラトムをお茶にして飲んでいた。また仕事に疲れたときはクラトムの葉を嚙んで疲労を軽減させた。
それ以外にも鎮痛作用や食欲を抑える効果もあり、痛み止めやダイエットのサプリメントとしても注目される。
だがクラトムは欧州やアジアの国々では違法だ。日本でも2016年に違法薬物に指定され、所持すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される。クラトムを摂取すると吐き気をもよおしたり、攻撃的になったりするとされるからだ。
クラトムは本当に危ないのか。問題ない、とスパットさんは断言する。
「クラトムはコカインやヘロインなど他の危険なドラッグに比べて効きが弱い。また、マジックマッシュルームのようにトリップ(幻覚を見る)することもないし、覚せい剤のように攻撃的になることもない」
ただクラトムの研究はまだ不十分。依存性や危険性がはっきりしているわけではない。だがクラトムが薬物の離脱薬として使われる米国では、ヘロインやオピオイド(麻薬性鎮痛薬。米国では依存者が200万人以上いる)などと比べて圧倒的に危険性が低いといわれる。
スパットさんは吐き気をもよおすという副作用も一蹴する。
「確かにクラトムを過剰にとったら吐き気がする。だが一回吐いてしまえば、過剰な分が出て丁度良くなる。自分の許容量を把握できるのさ」
筆者もクラトムのカプセルに始まり、クラトムの入ったコーヒー、お茶、ソーダとフルコースを試してみた。だが心身に大きな変化はなかった。酔っぱらうような感覚もなければ、幻覚を見るようなこともない。少し体が熱くなったくらいだ。