錠剤を粉にしてスプーンの上で加熱し、その蒸気を吸うクレイという方法。これでサナンさんはヤーバーを吸引していた。写真は、クラトムと大麻の混合の葉の煙を吸っているところ
クラトムが世界を救う?
米国の国立薬物乱用研究所(NIDA)の発表によると、クラトムの主要成分であるミトラジニンがくっつくのはヘロインやオピオイドと同じ受容体だ。ミトラジニンがヘロインなどより先にその受容体にくっつくことで、依存症状を抑えられるのでは、とスパットさんは予測する。
「依存者も麻薬や覚せい剤が身体に良くないことを知っている。だが依存性が高くて抗えない。クラトムを摂取すれば依存性がかなり抑えられる。薬物に対してノーと言えるんだ」
スパットさんがこう言うと、サナンさんも同調する。
「クラトムのおかげで人生が変わった。昔は不安だったが今はとても落ちついている。ヤーバーを使いたいとは思わないし、もう一生やらないと思う」
スパットさんは今、3人のヤーバー依存者にクラトムのカプセルを処方している。今後10人以上にクラトムを試してみて、結果が良ければタイ政府にかけ合い、さらに研究を進める予定だ。
「麻薬や覚せい剤、お酒の依存者が世界には何百万人といる。クラトムはその依存者を助けるツールとなる。クラトムが世界を救うんだ」(スパットさん)