「アラブ首長国連邦(UAE)にある7つの首長国をすべて行った人なんて聞いたことない」。これは、私がUAEのドバイで通った語学学校で出会った日本人女性(日本企業からの1年の予定で研修中)の言葉だ。5カ月の英語留学を終えたいま、UAEを大好きになった私が、独断と偏見で7首長国をランクづけしてみた。(第1回から読む)
ラクダは親子で40万円
私が好きになった首長国第1位は、首都アブダビを擁するアブダビ首長国。UAEの石油の大部分が昔から採れる場所だからか、街中には裕福さがにじみ出ている。最新の高層ビルよりも、日本でいう昔のデパートのような重厚感がある建物が目に付く具合だ。
住民の多くがUAE人だからだろう(外国人が集まるドバイではUAE人をあまり見かけない)、バスに乗っても停留所の表示はアラビア語のみ。音声アナウンスもない。「どこで降りるかわからない」とそわそわしていた私を見かねて、イスラム教徒の女性2人とバスの運転手が「ここだよ、ここ」と教えてくれた。
アブダビ首長国第2の都市アルアインも面白い。檻に入った数百頭のラクダが売買される「ラクダ市場」があるからだ。
ラクダの世話をするインド人男性によると、ここで売られるラクダは3つに分かれる。1つは、競馬に似た「ラクダレース用」のラクダ、次に「ミルク用」(UAE人はラクダミルクを飲む)、最後に「食肉用」だ。「値段はどれも、母子セットで1万ディルハム(約40万円)だよ」と男性。親子で売るのが普通らしい。
数に圧倒されるものの、どのラクダも表情が愛らしくて癒やされる。私がかわいいなと思うところは、潤った大きな瞳と長いまつげ。つばを吐かれないよう気をつけながらそっと鼻をなでると、思ったよりも毛がふさふさで驚いた。ちなみに生後1週間の赤ちゃんラクダでも身体は結構大きい。
私は留学中に、ラクダのミルクと肉を試してみた。ラクダミルクは少し甘くて油っぽい味。のどごしもこってり濃厚。美味しいけれど、毎日はいらないかな、というのが率直な感想。ラクダの肉は、スパイスが効いた煮込み料理だったため臭みはなく、ほろほろと柔らかかった。ラクダ肉のパテが入ったラクダバーガーもあるらしく、次はこちらも食べてみたい。
ラクダ市場の中には、緑色の草が押し固められてできた直方体のかたまりも山積みで売られていた。ラクダのエサ用だろう。UAEにはラクダに群がるビジネスがあるのだと知った。