タイ北部のチェンマイに、内臓を刺激して不安やストレスを解消するマッサージがある。その名もチネイザン。中国を起源とし、タイで体系立てられた伝統マッサージのひとつだ。ganas記者が体験した。
内臓と感情はつながっている
やってきたのは、チェンマイの旧市街から車で10分ほど北上したところにあるマッサージ&リフレキソロジー施設「ラムラムーン」。木造2階建てのこの施設は落ち着いた雰囲気。庭では猫がじゃれ合っている。
中に入ると足の裏や顔、身体のツボを記したイラストが張ってある。そこらへんにあるタイマッサージ店とは少し違う。
それもそのはず。ここで働くマッサージ師はタイ、ヨガ、中国、台湾などさまざまなスタイルのマッサージを習得した強者だからだ。ここではタイの古式マッサージ以外にも、台湾式足つぼマッサージ、フェイシャルマッサージ、カイロプラクティックなどさまざまなマッサージが受けられる。チネイザンはそのひとつなのだ。
筆者が体験したのは、1時間半で2000バーツ(約7800円)のチネイザンコース。1時間400バーツ(約1500円)のタイ古式マッサージや台湾式足つぼマッサージに比べて値が張る。チネイザンはタイの中でもかなりレアなマッサージ。この値段も希少価値の表れか。
担当してくれたのは女性のワラヨン・ツイタンパンさん(43)。チネイザンを世界に広めた姉妹の姉クンジットさんから直接指導を受けたマッサージ師だ。
チネイザンの特徴はお腹をマッサージするところ。これにより便秘や下痢の解消、生理痛や生理サイクルの改善といった身体的な変化が期待できる。
だがチネイザンの効果があるのは身体だけではない。心にも良い影響があるというのだ。
チネイザンは、感情は臓器にたまるという中国気功の考えをもとにしている。例えばストレスや心配は胃に、恐怖は腎臓に、怒りは肝臓にといった具合だ。
大きなプレゼンテーションを前に胃が痛くなったり、悲しくて胸が締めつけられるといった経験がある人も少なくないだろう。負の感情に日常的にさらされていると、それがそれぞれの内臓にたまり、内臓の機能自体を悪くする。
チネイザンの目的は、内臓をマッサージして、たまった負の感情を外に洗い流すこと。日ごろからストレスがたまりがちな人にぴったりなマッサージなのだ。