敬虔な仏教徒のアース。「ラマ9世(プミポン国王)はもういない。『良き人』は昔とは違う」と話す
国王への忠誠心は下がった
良き人とはもともと、2000年代に人気を博したタクシン首相(2001~2006年)に対抗するため、反タクシン派の民主主義市民連合(PAD、通称「黄シャツ」)が言い出した階層だ。タイの政治は、国王を見本とし、仏教の教えを実践する教養のある良き人が主導していくべきと主張したのが始まりだ。
こうした由来から、良き人は王室派・親軍派・敬虔な仏教徒を指す言葉として使われるようになった。だが今、この言葉の定義があいまいになってきた、とアースは言う。理由は、プミポン国王が死去したことだ。
「以前はプミポン国王を尊敬する王室派・親軍派・敬虔な仏教徒が良き人としてまとまって定義されていた。だがワチラロンコン国王が王位を継いだ。ワチラロンコン国王はスキャンダルも多いし、最近2人目の妻(側室)もめとった。これは仏教の教えに反していると思う。国王への忠誠心は下がった。良き人と言われるのは今、一部の王室派しか残っていない」(続く)
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