【タイ選挙特集⑤】保守的な仏教徒の国王離れが加速? 民主派政党を支持か

敬虔な仏教徒のアース。「ラマ9世(プミポン国王)はもういない。『良き人』は昔とは違う」と話す

国王への忠誠心は下がった 

良き人とはもともと、2000年代に人気を博したタクシン首相(2001~2006年)に対抗するため、反タクシン派の民主主義市民連合(PAD、通称「黄シャツ」)が言い出した階層だ。タイの政治は、国王を見本とし、仏教の教えを実践する教養のある良き人が主導していくべきと主張したのが始まりだ。

こうした由来から、良き人は王室派・親軍派・敬虔な仏教徒を指す言葉として使われるようになった。だが今、この言葉の定義があいまいになってきた、とアースは言う。理由は、プミポン国王が死去したことだ。

「以前はプミポン国王を尊敬する王室派・親軍派・敬虔な仏教徒が良き人としてまとまって定義されていた。だがワチラロンコン国王が王位を継いだ。ワチラロンコン国王はスキャンダルも多いし、最近2人目の妻(側室)もめとった。これは仏教の教えに反していると思う。国王への忠誠心は下がった。良き人と言われるのは今、一部の王室派しか残っていない」(続く

現首相のプラユット氏が所属する親軍政党「タイ団結国家建設党」の選挙ポスター。4月末の世論調査では、次の首相に期待する人物として、ペートンタン氏やピタ氏が30%前後の支持を集める中、プラユット氏は15%前後と低迷する

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