東ティモールのアタウロ島で活躍する「保健の船」。ヤマハ発動機が船を選び、シェアが現地での運行をサポートした。船は2つのエンジンを搭載する
船の到着は予防接種の合図
ハード面を担当したのがヤマハ発動機なら、ソフト面で奮闘したのがシェアだ。シェアはアタウロ島の保健センターと協力して保健の船を現地側だけで運用できるよう進めた。
シェアがまず実施したのは船のメンテナンス研修。日本から専門家を呼び、船頭や保健センターのスタッフに船の維持管理のやり方を伝えた。2020〜22年に開いたメンテナンス研修は計7回。現在は船頭が定期的にメンテナンスをする。
また保健省に船の必要性を訴え、予算を確保してもらった。その結果、2022年4月に保健の船を保健省に委譲。これまでシェアが雇用していた船頭も、今は保健省に所属する。
保健の船はみんなのもの、という意識は保健省だけでなく、島民にも伝わっている。巣内さんは「ゴツゴツした岩場に船を寄せなければいけない時は、島民が保健の船から岸までの渡し船を出してくれる。薬も運んでくれる」と手応えを語る。
保健の船は今、アタウロ島で大活躍だ。医療スタッフを乗せた船が村に着くと、村人は鐘を打ち鳴らす。その音を聞いて、子どもたちは予防接種を、また妊婦は母子手帳を持って定期健診を受けにくるという。
「NGOはハードの支援に少し後ろ向きなところがある。だが今回は船があったから、どうしたら船を運用できるかをみんなで考えた。船のおかげでシェアと保健省、そしてコミュニティ全体が成長した」
巣内さんは、ヤマハ発動機と協力して進めた保健の船のプロジェクトの成果についてこう話し、活動報告会を締めくくった。
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