コロナで収入激減
ところがこの後、思いもよらない足止めを食う。新型コロナウイルスのまん延だ。スタディツアーは壊滅した。このためタケダさんは自社のオンラインセミナーと、立教大や東京外大、HISなどから受託したオンラインスタディツアーに業務内容をシフト。しかし収入は半減した。
この状況を打開するためにタケダさんが打った手は「1つの収入源に依存しない」。これが3つ目の秘訣だ。
本業以外の仕事は2つの組織から請け負った。1つはNPO法人IFPaT。協力隊の同期隊員からの紹介で、得意な動画編集を生かしてITサポートを担当した。もう1つはJICAルワンダ事務所。知り合いのJICA職員から新しいスタッフの募集があると聞き、NGOデスクコーディネーターの職に就いた。
ルワンダ事務所に出勤するのは週3日の午前中だけ。毎月決まった額の給料がもらえた。それ以外の時間は自宅で本業やITサポートの仕事に費やす。
人との縁でピンチを切り抜けたタケダさん。「収入はコロナ前と同じ水準まで戻った」と複業の成果を訴える。
さらなる自由を目指す
4つ目の秘訣は「自分だからできることをやる」。タケダさんが企画するスタディツアーの特徴は「普通の旅行では味わえない体験を提供すること」。農村ホームステイ以外にも、現地で起業した日本人やジェノサイド(集団殺害)を生き延びた人から話を聞く機会を設けることも。
タケダさんが次に目指すのは「より自由な働き方」の実現だ。コロナ禍の3年間が自分自身の働き方を見直すきっかけになったという。「ルワンダで仕事をするだけでなく、日本で家族と過ごす時間を増やしたい」と願う。
今後は副業の割合を下げ、新たな収入源として自社の事業のなかで2つの新規ビジネスを立ち上げる。1つは、ルワンダの魅力や課題をわかりやすく伝える電子書籍の出版。もう1つは、ルワンダに進出する、またはしたい日本企業に向けた現地レポートの作成だ。
「本はストック型のコンテンツ。一度出版したら永続的に読んでもらえる。レポートは、ルワンダ側のパートナーと協力して、日本にいながら仕事できる体制を整える」とタケダさんは見据える。