ブルキナファソの給食に「大豆クスクス」! 星野紀子さんが大豆の学校菜園広める

ブルキナファソの母子と写真に映る星野紀子さん(中央)。ブルキナファソの農業省と教育省と協力し、大豆クスクスを広める(写真:本人提供)

好きな給食は大豆クスクス

学校菜園で栽培した大豆は、星野さんが考案したスペシャルレシピ「大豆クスクス」に使う。

大豆クスクスの作り方は簡単だ。とうもろこしの粉と炒った大豆の粉を1対1で混ぜ、お湯を加えて小さな粒を作る。それをザルに載せて蒸すだけ。

このレシピを広めるために星野さんは、提携先の小学校の児童の母親をふたりずつ呼び、調理研修を開く。大豆クスクスの作り方を教え、給食のメニューとして作ってもらうのだ。

「炒った大豆ととうもろこしの甘さで大豆クスクスは子どもたちから人気。先日実施したアンケートでも、好きな給食メニューに大豆クスクスが上がった」と星野さんは喜ぶ。

学校菜園や大豆クスクスを始めたことをきっかけに、給食を継続的に出す学校が増えてきたという。

「小学校の大豆畑を見て、隣の学校も大豆の学校菜園を始めたり、親が大豆クスクスの味を気に入って、とうもろこしの粉を寄付してくれたりするようになった」(星野さん)

テロで学校閉鎖

だが2022年、大豆を栽培していた34校のうち20校しか収穫できなかった。イスラム過激派のテロの影響で学校が閉鎖されたからだ。

隣国のマリでテロ行為を続けるアルカイダやイスラム国(IS)系の組織がブルキナファソにも勢力を拡大。ブルキナファソ政府はクルぺゴロ県に非常事態宣言を出し、同県の住民は家を追われる羽目に。星野さんは活動を中止するしかなかった。

「4年も学校で栽培を続けてきたのに、そこを離れなければならないのはとても悔しい」と星野さんは唇をかむ。

だが星野さんはテロに屈しない。子どもたちに少しでも給食を提供しようと、避難した子どもが通う仮設の小学校にとうもろこしや大豆の粉を寄付する。またその学校の親に調理研修をし、避難地でも大豆クスクスを作ってもらっている。

大豆クスクスを手に笑顔を見せる子どもたち。星野さんは「大豆クスクスが少しずつ定着してきた」と喜ぶ(写真:星野さん提供)

大豆クスクスを手に笑顔を見せる子どもたち。星野さんは「大豆クスクスが少しずつ定着してきた」と喜ぶ(写真:星野さん提供)

イスラム過激派に燃やされた村の変電設備。ブルキナファソのクルぺゴロ県では非常事態宣言が出たため、住民は学校菜園をやめ、別の地域に逃れた(写真:星野さん提供)

イスラム過激派に燃やされた村の変電設備。ブルキナファソのクルぺゴロ県では非常事態宣言が出たため、住民は学校菜園をやめ、別の地域に逃れた(写真:星野さん提供)

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