日本の女性議員数はパキスタン以下
途上国ワースト1位(全体でも最下位)はアフガニスタン(146位)。ワースト10は下から、チャド、アルジェリア、イラン、パキスタン、マリ、コンゴ民主共和国、ベナン、ギニア、モロッコの順。139位のオマーン以外、全体のワースト10はすべて途上国が占めた。
ワースト10カ国を地域別にみると、アジア1カ国、中東・北アフリカ(MENA)4カ国、サブサハラ・アフリカ5カ国だ。サブサハラはトップ10にも4カ国が入るなど、男女平等の先進国と後進国が混在する。
アフガニスタン(スコアは0.405)の最下位は前年に続くもの。イスラム主義組織タリバンが2021年8月に再び政権を握った後、女性の権利を抑圧。女性議員や閣僚はいまやゼロだ。
経済と健康の分野でもアフガニスタンの女性の地位は低い。専門性をもつ労働者に女性が占める割合は12.5%にとどまる。女性が経営トップの会社も4.7%に過ぎない。妊産婦死亡率は10万人当たり638人で、これは日本(1.34人)の476倍だ。
ワースト5位のパキスタン(142位、スコアは0.575)も、すべての分野で課題が山積みだ。女性が経営トップを務める会社はたった6%。国会議員と閣僚に女性が占める割合はそれぞれ20.5%、9.3%。ただ、日本の数字はこれを下回る(10%、8.3%)。
パキスタンは健康分野でも女性が極めて不利な立場にある。性に基づく暴力(GBV)を生涯で受ける女性の割合は85%と群を抜く。婚前・婚外交渉などが原因で女性が家族に殺される名誉殺人や、結婚時に女性側から男性側に渡される金品(ダウリ)にかかわる暴力・殺人もいまだに横行する。
教育分野をみても、中等教育を受けたパキスタンの女性の割合はわずか42%と低い。ただこれは男性でも48%と半分以下だ。
コロンビアで「平等省」誕生
男女平等が進んだ国として注目なのは、ジェンダーギャップ指数が前年から0.04以上伸びたリベリア(0.709から0.76)、エストニア(0.733から0.782)、ブータン(0.637から0.682)、マラウイ(0.632から0.676)、コロンビア(0.71から0.751)、チリ(0.736から0.777)の6カ国だ。
コロンビアは2022年に、同国初となる黒人女性の副大統領が誕生した。シングルマザーで元家政婦のフランシア・マルケス氏だ。同年に建国史上初めて誕生した左派政権(ペトロ政権)は翌年、賃金格差など男女差別の一掃を目指す「平等省」を設立した。マルケス副大統領は設立を祝う式典で「私たちがコロンビアの平等のために活動しないなら、政府としては失敗だ」と述べた。