タイとの国境沿いにある国内避難民(IDP)キャンプにある学校の子どもたちに衣類を届ける。左が大槻さん(写真は本人提供)
「ミャンマーに返すぞ」と脅しも
平和を創る会の2つ目の活動は、日本在住のミャンマー人留学生・技能実習生の相談に乗ることだ。
専門学校に通うために4年前に来日した留学生のひとりは、2021年2月に母国で起きた軍事クーデターの後、実家が燃やされ、親は収入源も失ったことを知る。親へ仕送りするためにアルバイトを増やし、自分はカップラーメンをすする日々。学費も払えなくなった。
大槻さんは「退学やビザの手続きといった困りごとを相談するため、この留学生が私の自宅に来る途中、履き古したサンダルのひもが電車の中で切れた。『恥ずかしいから、途中で降りて裸足で歩いて行く』と電話をかけてきた。私は駅まで迎えに行った。留学生の姿を見て胸が痛んだ」と語る。
2022年8月に来日した技能実習生からは、受け入れた日本の会社での過酷な待遇の相談が持ち込まれた。職種が耕種農業であるにもかかわらず、建物の解体といったほかの仕事をやらされる。社長からは「やらなければミャンマーに返すぞ」と脅される。
監理団体に相談しても対応してもらえない。この技能実習生は「ミャンマーには帰る場所がない。かといって逃げ出してミャンマー人のイメージを悪くしたくない」と苦しい胸の内を語ったという。