タイの独裁政治に反対する学生団体などが集まる「タマサートデモ統一戦線」は8月2日、タクシン派のタイ貢献党に対して、5月の下院選挙で第1党となった革新派・前進党など野党による連立の枠組みを継続するよう訴えるデモをバンコク都内で打った。だがタイ貢献党は同日、前進党との連立の枠組みから脱退すると発表。デモ参加者らは「裏切り者」と声を上げた。
3本指を掲げる
前進党の政党カラーであるオレンジ色の帽子やリボンをつけたバイクの集団が、スクンビット通りをゆっくりと進んでいく。先頭の車からはタイのポップミュージックが流れ、トラックの荷台に乗った前進党の支持者らはリズミカルに踊る。バイクに乗った支持者たちはみんな一様に民主化のサインである3本指を掲げる。
この日、デモに集まったのは1000人以上。車やバイクで構成するのデモ隊はタイ・バンコクのアソーク交差点を昼の1時に出発し、スクンビット通りを下り、トンロー通りとの交差点を左折。ペチャブリ(ペブリ)通りにあるタイ貢献党の本部まで行進した。
デモ隊がタイ貢献党に要求するのは、前進党との連立の枠組みを継続することだ。
5月の選挙で下院の第1党に躍進した前進党は、第2党のタイ貢献党などと野党の連立を形成し、下院の議席では過半数を占めた。だが保守派がそろうう上院議員らの妨害を受け、7月の首相指名選では前進党の党首ピタ氏は首相に選ばれなかった。
だが上院議員の任期は2024年の5月まで。それ以降は下院議員の投票のみでの首相の選出が可能だ。デモ隊は、タイ貢献党に対してそれまで前進党と連立の枠組みを維持し、改めてピタ氏を首相に指名するよう主張したのだ。
ところがデモの進行中に、タイ貢献党は、前進党など野党との連立の枠組みから脱退するとの声明を発表した。これを知ったデモ隊は怒り心頭。タイ貢献党の本部の前で人形のようなものを燃やし、「裏切り者」などの非難の声を上げた。本部の敷地に侵入しようとするデモ参加者もいた。