バイクや車から降りずに行進する「カーモブ」。デモ隊はバンコクの繁華街のひとつであるアソーク交差点を出発した。デモ参加者は前進党の支持者を中心に、「野党連立の枠組み」からの脱退に不満をもつタイ貢献党の支持者もいた
政権に就きたいだけ
タイ貢献党は現時点ではどの政党と組んで連立政権の樹立を目指すかは明言していない。だが、国民国家の力党をはじめとする親軍政党が有力との見方だ。タイ貢献党は、不動産事業で成功したセター・タビシン氏を首相候補に擁立する構えだ。
デモの参加者で国際人権NGOで働く男性は、タイ貢献党にこう怒りをぶちまける。
「タイ貢献党は民主主義を目指していると言うが、そうではない。政権に就きたいだけだ。そのために(王室改革を掲げる)前進党を切り捨てた。裏には、軍や王室に不利益にならないように政権を運営するという約束があるに違いない」
男性はすべてが茶番だと叱責したうえでこう続ける。
「(海外で逃亡生活を続ける)タクシン元首相がタイに帰国する話もあるが、それも軍との口裏合わせがある。タクシン元首相が国王から恩赦を受けるのは間違いない」
タクシン元首相の娘で、自身もタイ貢献党の首相候補のひとりであるペートンタン氏は7月26日、タクシン元首相が8月10日に17年ぶりにタイに帰国するとソーシャルメディアで発表した。タクシン元首相は汚職容疑で10年の実刑判決を受けている。
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