一般企業に就職してから、セネガルとかかわることがなくなかった宮村暢子さん。たが2020年に再びセネガルを訪れた。それは、「テランガ」と呼ばれる、セネガル人のおもてなしの心が忘れられなかったからだ。アパレルブランド「ゲヌ」を立ち上げ、セネガルの女性支援NGOを支える宮村さんの連載2回目。(1回目はこちら)
答えはセネガルにある
宮村さんは2011年に続いて2012年もセネガルを訪れた。女性器切除(FGM)の卒業研究をするためだった。だが大学を卒業し、一般企業に就職した2013年以降、セネガルと接する機会がなくなった。宮村さんは当時の思いをこう話す。
「セネガルのことは大好きだった。だけど自分に何かできるとは考えていなかった」
だが2019年、30歳になった宮村さんはキャリアや結婚など将来について深く考えるようになる。その時、必ず頭に浮かぶのは、大学時代にセネガルでボランティアをした思い出や、女性支援をするキャディ・コイタさんたちのことだった。なによりチェブジェン(魚の煮汁で炊いたご飯)でおもてなしをしてくれたセネガル人の優しさが頭から離れない。
「セネガルのことが気になって仕方がなかった。自分が将来どうしたいかの答えはセネガルにあると思うようになった」
この思いをのちに夫となる恋人に相談すると、「セネガルに行ったほうがいい」と背中を押してくれた。宮村さんは仕事を辞め、セネガル行きのエアチケットを買った。3度目の渡航だ。
8年ぶりの訪問だったが、テランガは変わっていなかった。友人たちは宮村さんを笑顔で迎えてくれた。街を歩けばみんな、声をかけてくれる。宮村さんは日本でのモヤモヤが一気に吹っ切れた。
「人と人との距離が近いセネガルなら自分らしくいられる。そんな自分が好き。この時、将来はセネガルにかかわる仕事がしたいと思った」