【セネガルに魅せられて②】寄付と助成金で女性の避難シェルターを完成させた! ゲヌの宮村暢子さん

アフリカ布を束ねる宮村さん。アパレルブランド「ゲヌ」を2020年に立ち上げ、売り上げの10%をセネガルの女性支援NGO「ラパラーブル」に寄付する(写真は本人提供)

廃墟を目の前に心が固まる

コイタさんのNGOラパラーブルが活動するティエスももちろん訪れた。そこで衝撃の光景を目にする。

それは廃墟となった保護シェルター。2012年から建設が一向に進んでいなかった。壁は荒廃し、ベルギー人がせっかく設置してくれた太陽光パネルは盗まれていた。

宮村さんが離れていたこの8年間、ラパラーブルはシェルターの建設のための費用を集めることができないでいた。コイタさんもその間に身体を壊していた。

60歳を迎え、無理がきかなくなってきたコイタさん、それでも多くの女性が避難場所を求めている。目の前には廃墟となったシェルター。

「大好きなセネガルのために、性暴力で苦しむ女性のために、自分がシェルターを完成させる」

宮村さんの心は固まった。

1カ月でブランド立ち上げ

そうと決めたら動きは早かった。宮村さんはセネガルから日本に帰国して1カ月後にゲヌを立ち上げた。シェルターの建設費をまかなうため、売り上げの10%をラパラーブルに寄付すると決めた。

アパレルにこだわったのは、誰もが入りやすいファッションを通して、セネガルの女性支援に多くの人を巻き込みたかったからだ。宮村さんはポップアップイベントでゲヌの商品を販売するだけでなく、FGMなど、セネガルの女性が直面する問題を顧客に伝えた。

「いきなりFGMの話をされても、怖いし聞きたくないと思う。かわいい洋服を手に取って、それがセネガル女性の支援につながるとなれば、自然とかかわりができる」(宮村さん)

アパレルにこだわるもうひとつの理由は、FGMや家庭内暴力から逃げてきた女性が縫製の仕事につけるようにするためだ。シェルターで縫製を学び、商品を作れるようになれば、経済的な自立につながる。

「セネガルの雇用率は低い。とくに女性は特に仕事を見つけるのが難しい。ゲヌの商品が売れれば、テーラー(仕立屋)として雇える」

シェルターでは1部屋に2人が泊まれる。シェルターのあるティエスには、性暴力を受けた女性を保護する施設がこれまでひとつもなかった(写真は宮村さん提供)

シェルターでは1部屋に2人が泊まれる。シェルターのあるティエスには、性暴力を受けた女性を保護する施設がこれまでひとつもなかった(写真は宮村さん提供)

周りが見渡せるベランダもシェルターの2階に設置した(写真は宮村さん提供)

周りが見渡せるベランダもシェルターの2階に設置した(写真は宮村さん提供)

1 2 3