ガイドの仕事が直接入る
そんな彼に幸運が舞い降りてきたのは2021年のこと。ひとりの外国人観光客がガンビエにやってきた。30歳前後のアフリカ系の米国人だ。テオフィルさんはつたない英語で彼を案内した。
この米国人は帰国後、テオフィルさん専用のウェブサイト「Visit Ganvie Tourism」を立ち上げてくれた。ここにはガンビエの写真や動画、テオフィルさんの口コミ、テオフィルさんの連絡先(メッセージアプリ「ワッツアップ」)などがシンプルに書かれている。
口コミはこんな具合だ。「テオフィルはガンビエとその歴史をよく知っていて、それを教えてくれた。ガンビエは素晴らしい場所。訪れる価値はある」
フランス語のこのウェブサイトが立ち上がって以降、彼の稼ぎは倍増した。現時点の月収は約8万CFAフラン(約1万9000円)だ。
「このサイトを見て、観光客から連絡が直接来るようになった。これまではホテル経由の仕事も少なくなかったから、自分の取り分は多くなかった。だが直で仕事が入ると自分が全部もらえる」
彼の客にはフランス人、米国人、ベルギー人、中国人、インド人、ドイツ人などが多いという。
新婚でやる気マックス!
テオフィルさんは実は1週間ほど前に結婚したばかりだ。いまはガンビエを出て、近くの陸地に家(部屋は2つ)を借り、新婚生活をエンジョイしている。電気・水道代込みの家賃(3万CFA=約7200円)も払えるようになった。
ここにきて上向き始めた人生。現状で満足せず、「収入をもっと増やしたい」とテオフィルさんはやる気を漲らす。4カ月前から、片言気味の英語をブラッシュアップさせようと、無料のアプリ「ドゥオリンゴ」を使った猛勉強も始めた。
ガンビエにはいま、およそ50人の観光ガイドがいる。このうち英語を話せるのは10~15人。テオフィルさんは「フランス語に加えて、英語がもっと流ちょうに話せるようになりたい。ウェブサイトもある。収入はまだまだ上がる」と目を輝かせる。